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<純烈物語>恋人に歌えなかった愛と世界観 尾崎豊に心酔していた白川裕二郎<第98回>

純烈_白川

<第98回>彼女に歌えなかった愛とその世界観 白川裕二郎の音楽的ルーツは尾崎豊

 配信ドラマ、舞台、映画……今やムード歌謡グループの枠にとどまることなく活動の幅を広げている純烈。だが、その“本籍”が歌であるのはどこまでいっても変わらない。  現メンバー4人全員がシンガーでもミュージシャンでもないところから出てきたためか、音楽のルーツがどこにあるのかはこれまであまり語られてこなかった。おそらく、将来の対象として意識することなく接していたのだと思われる。  酒井一圭に誘われなかったら、確実にステージで歌う人生は巡ってこなかった白川裕二郎、小田井涼平、後上翔太の3人。そこへ行き着くまでの「紀元前」に刻まれたのはどんなアーティストであり、作品だったのか――。

初めて買ったのは爆風スランプの唄

 小学生の裕二郎少年が自分の部屋で過ごしていると、隣から何やら音が聴こえてきた。7つ上の姉が大型のコンポを持っており、そこから漏れてくるメロディーだった。  姉は洋楽が好きで、それがイーグルスやスティングの曲だとあとになって知る。歌詞が英語だから何を言っているのかはわからない。そうした中、日本のアーティストとして一枚の壁を揺らしていたのが爆風スランプ。  小学6年の社会科見学で国会議事堂へいき、バスの中でクラスメートがかけた曲も爆風の『Runner』で、みんなで盛り上がり楽しい歌だなと思い生まれて初めてCD(8cmシングル)を買った。やがて中学に入ると、2年生で尾崎豊の歌詞に衝撃を受ける。 「初めてハマったアーティストでした。歌詞が過激なのに、雑誌とかを読むと純粋な人だと書いてあって、繊細だからそういう歌詞が書けるのかと思ったし、尾崎さんの経験から書かれたものもあると思うけど、ストレートなものが突き刺さったんです。  僕らの時代はまだドカンとか履いている時代でヤンキーの友達が多くて、校舎の窓ガラスを壊して回ったりはしなかったけど、学校をサボってそいつらの家に集まって遊んでいて。そこでよくかかったのが尾崎さんだった」 『ビー・バップ・ハイスクール』や『今日から俺は!!』の世界が現実だった時代。グレていたわけではなかったが、ご多分に洩れず白川も背伸びしたい年頃にあった。  標準よりも少しだけ膨らんだ学生服のズボン、ボタン裏の留め金を細工し、カラーを外して学ランを着た。そういうものがカッコいいと思えたし、ヤンキーだとモテたのだ。  尾崎の歌詞には、そんな自分があこがれる世界観のそのものが描かれていた。先生が気にくわないとか、母に対するイラつきというような自分の他愛ない感情よりもっともっとドラマティックで、ダイナミックかつエモーショナルだから心を奪われた。
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母親に苛立つ自分を尾崎に投影していた
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