更新日:2021年08月01日 12:34
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パチンコ業界のおかしな慣習。中小店が消えゆくのは構造的欠陥も

認定機を巡っても大手が有利に

 パチンコ・パチスロなどの遊技機を営業に使用するには検定や認定、それぞれ3年(※通常は検定期間が切れる直前に認定が申請されるので、最長で6年)にあることが必要になるが、特に大手にとってアドバンテージになっているのが認定機の扱いだ。検定期間が残っている検定機は都道府県を跨いで中古機として流通が可能なのに対し、認定機は同一都道府県かつ同一法人内でしか移動ができないという違いがある。  結果、保有機種の在庫が豊富な大手は人気のある機種を育成店舗に優先的に割り振ることができるが、店舗数や在庫が少ない中小ではそれが難しく、新機種だけではなく人気機種を揃える点においても差が生じてしまうわけだ。  特に新規則機がふるわない現在のパチスロ市場においては稼ぎ頭である旧規則機(5号機)をいかに揃えられるかが集客や売上げにとって重要になるが、大手なら仮に新店舗を出す場合には既存店舗から少しずつ5号機を回してもらうことが可能。逆に中小は新店舗を出したくても6号機だけのラインナップにせざるを得ず、結果として拡大戦略も取り難いという状況になっている。

人気のない台を使い続けなければならない中小ホール

 また中古機についても、新機種を安く購入できた大手なら人気が出なかった機種を抜くだけ抜いて売ってしまうという方法もあるが、予算的に余裕がない中小は人気がなくても使い続けるしかなく、結果的に最新の人気機種を揃えた大手に客を奪われることになる。  どうしてこんな不人気機種ばかりというホール(そういう店は中小がほとんどだ)があるが、中古機でも価格が高騰している人気機種は買いたくても買えない、それでもとりあえず機械だけは揃えたいと安価な不人気機種に手を出した結果。どの業界でもそうだが、それだけ大手と中小では営業環境に大きな差があり、結果として業界全体が厳しくなると中小から淘汰されるのは必然といえるだろう。  それでもこの業界を育ててきたのは、昔ながらの駅前商店街の風景に溶け込んだ、多くの人がイメージするチンジャラという音を奏でるパチンコ屋であろう。今は大手といわれるホールも中小からスタートしており、時にはグレーなこともやり、また世間からの批判にさらされながらもパチンコ・パチスロという遊びを定着させてきた。  大手の寡占化が進むなかでも個性的な中小のホールは少ないながらもファンから支持されているだけに、規則改正による大規模な入れ替えとコロナ禍という荒波のなか、このまま消え去っていくのはあまりにも惜しいと思うのは筆者だけではないはずだ。 文/キム・ラモーン
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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