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ワタナベマホト、へずまりゅう…YouTuber炎上の歴史を振り返る

炎上の影に支援者の存在

 トップクラスでは年収数億円とされるYouTuberだが、そこに至るのは決して簡単ではない。YouTuberは動画の広告で収益を挙げるのだが、閲覧者数に比例する金額は1再生につき0.05〜0.1円程度。そこそこ生活をできるレベルの収入を得るだけでも、相当な努力が必要だ。  しかし、繰り返される不祥事の背景には、収益よりも暴走した承認欲求のほうが見え隠れする。YouTuberが全盛を迎える以前には、Stickam、そしてニコニコ生放送がはねている時代があった。その頃からネタにされることだけを目的に室内で花火に点火をしたり、皇居のお堀に入浴剤を投げ入れる配信をして逮捕される「生主」はたびたび話題になっていた。  暴走行為が相次いだのは、犯罪行為の配信を手助けする支援者が存在したことである。2015年に長野県の善光寺で法要中にドローンを飛ばして墜落させたほか、ドローンを用いた迷惑行為を繰り返し、一躍「ドローン少年」として話題になったノエルという生主がいた。  未成年だったノエルが高価なドローンを何台も購入したり各地に出現する背景には、高額の資金を提供する支援者が存在していた。支援者が存在することによって満たされる承認欲求や全能感がモラルを崩壊させるのは、現在の悪質なYouTuberも変わらない。  とりわけ、チャンネル登録者数と再生回数によって、収益も変化する極めて資本主義的なシステムであるYoutubeにおいては、ただ数を稼ぐために暴走は止まらない。そして、その数によって、自分が何者かになったような錯覚に陥ってしまいがちだ。

役立つ情報も多いのだが……

 ただYouTuberそのものが、悪質な業界ではない。数ある動画の中には生活に役立つものもあれば、マニアックな情報をわかりやすく解説してくれる動画も多い。例えば昨年、日本中国料理協会が開設したチャンネルでは、陳建一が自宅でできる麻婆豆腐の作り方など、技術を惜しげもなく教えてくれ、コロナ禍のおうち時間を有意義に過ごすことが出来ている。
 人に出来ないことをやるYouTuberは確かに魅力的だ。しかし、最低限の越えてはいけない一線を越えた者をネタとして称賛してしまうようでは共犯者も同然。そんな動画を見るよりはなにかの足しになる動画でも見ていたい。   文/昼間たかし
ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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