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五輪開会式の裏側で…競技場前は完全な“密”。警察とデモ隊がもみ合い、怒号も

「オリンピック~中止!」 「何が~平和の祭典だ!」  7月23日夜8時、新国立競技場前の交差点では、反五輪のデモ隊がドラムのリズムに合わせてシュプレヒコールをあげていた。だが、夜空が明るく照らし出されると、トーンは下がり、そそくさとスマホを構えるデモ隊の姿が。「東京五輪2020」開会式の始まりを告げる花火が上がった瞬間だ。
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警察とデモ隊がもみ合い、怒号が飛び交う。出入り口を塞がれ、コンビニに入れなかった20代男性は「もう少し周囲に気を使ってほしい」とため息交じりで話す

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賛否両論渦巻く五輪がついに開幕

 振り返れば、不祥事の絶えない大会だった。「呪われた五輪」と呼んでも差し支えないだろう。  エンブレムのパクり疑惑に始まり、招致をめぐる贈賄事件、新国立競技場の設計変更、森喜朗・前組織委会長の女性蔑視発言、開会式総合統括による「渡辺直美をオリンピッグに」演出プラン、そして直前に発覚した開閉会式音楽担当の小山田圭吾氏によるイジメ問題とショーディレクターの元ラーメンズ・小林賢太郎氏が過去に行っていたホロコースト・ネタに端を発する解任劇……。  そもそも、コロナ下で五輪を開催すべきか否かの議論もつきまとった。それだけに、五輪反対派からは「コロナで自粛と言いながら、五輪を開催するのは矛盾している」(60代男性)という当然ともいえる批判の声があがっていた。
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開会式前から最寄り駅には反対派たちが集まり「オリンピック中止」を叫ぶ。「復興五輪というのに、福島が置き去りになっている」(60代女性)

 開催を心待ちにし、会場前で待機していた子供連れの女性までも次のように話す。 「競技場内に入れないのはわかっていたけど、近くの道路をほとんど封鎖して人を近づけないようにするなんて……誰のための五輪なんでしょう?」

選手たちの堂々とした姿に救われる

 この日、新国立競技場近くの歩道は人で埋め尽くされた。一部の人はスマホやタブレットを片手に開会式の中継映像を凝視。
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19時から新国立競技場前で待機。タブレットで中継映像を見ながら開会式の空気を堪能した2人。ロードレースが好きで、「翌日(7月24日)は始発で府中に行って観戦する」と話していた

 だが、大半の人は漏れ聞こえる音楽に耳を傾け、時折上がる花火とドローン演出のシャッターチャンスを待ち続けることしかできなかった。 「コロナだから仕方ない」(20代男性)そう言いつつ、密の中、缶ビールをあおる外野の人たち。  そんな観客不在の東京五輪は、天皇陛下のお言葉に象徴されていたという。スポーツライターの玉木正之氏が話す。 「五輪憲章では『celebrating(祝う)』とされている箇所を、陛下は『近代オリンピアードを“記念する”』として開会を宣言されました。国民の心に寄り添えば、祝うことはできないというメッセージです。このお言葉と、堂々とした姿勢で聖火台に点火した大坂なおみ選手や日本選手団の旗手を務めた八村塁選手の姿に救われた開会式でした」
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バスケットボールの八村塁が男子旗手、レスリング須崎優衣が女性旗手を務め交互に日の丸を掲げる。203センチの八村と153センチの須崎の50センチ差コンビが日本選手団を先導した

 すでに開会式の演出は賛否両論を呼んでいるが、玉木氏は「すべてが『仕方がない』に集約される」と話す。 「政府や組織委のトップや幹部が次々と不祥事を起こして開催さえ危ぶまれるなかで、現場の方たちが精いっぱいやった。その気持ちを酌んで、今はスポーツの祭典を楽しみましょう」  政治とコロナと不祥事に振り回され続けたが……世界のトップアスリートたちが競技に専念できるよう祈りたい。
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’72年ミュンヘン五輪のテロ被害者に黙とう
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表紙の人/ 郷ひろみ

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