ライフ

自傷行為すらもファッション感覚?現役女子大生ライターが追う「ぴえん系女子」の生態

歌舞伎町に救いを求める本物のぴえん系女子

ぴえん

イラスト/ツヅキエイミ

 多様な意味を持つ、ぴえん。日本語の変遷の歴史に鑑みてもこうして複数のことばがひとつのことばに収束する傾向は存在する。 「文化」として成立するとその界隈の文脈の中での言語体系(隠語)が生まれる。歌舞伎町という街の、来るもの拒まずな文化とSNSの普及も相まって、隠語を含めたぴえん系女子カルチャーの認知・拡散がされ、都内に限らず広く普及したと考えられる。  これは、裏を返せばその文脈に沿っていなくてもその社会的文脈を真似することが容易になるということであり、ぴえん文化に憧れただけの「擬態ぴえん系女子」が歌舞伎町外から流入する可能性が高まった。彼女たちは擬態して救われている側面もあるのだ。  渋谷がかつてガングロギャルがブームになり、地方から“救い”を求めてやってくる若い女性たちがいた。同様の流れがいま、ぴえん系女子として歌舞伎町に来ていると私は感じている。

リストカットすらファッションや“SNS映え”のひとつに?

 ぴえんをコスプレ的なファッションで消費するものもいれば、より深い闇にのみ込まれていくものもいる。歌舞伎町の持つ“闇”と、ぴえん系女子の持つ“病み”が融合した結果、過激化するものも多いのもまた事実だ。  一部のぴえん系女子のなかでは、メンヘラと呼ばれる人々の要素であるOD、リストカット、大量の煙草や酒といった嗜好品の消費、性的消費をファッションの一部として行うものもいる。これによって「ぴえんカルチャー」がカリカチュアライズされ、誇張したイラストや過激な歌舞伎町女子の事例が、彼女たちにとって“日常化”していく。  信じられないかもしれないが、彼女たちにとってリストカットすら、ファッションや“SNS映え”のひとつになっているのだ。
次のページ
神格化される「ホスト殺人未遂事件」
1
2
3
おすすめ記事