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自傷行為すらもファッション感覚?現役女子大生ライターが追う「ぴえん系女子」の生態

神格化される「ホスト殺人未遂事件」

 その最たる例として、実際に歌舞伎町で起きたホスト殺人未遂事件が、現在でも一部のぴえん系女子から熱い支持を得ていることをご存じだろうか。’19年の5月25日、当時21歳の高岡由佳が交際していた男性ホストの腹部を刺し、重傷を負わせ逮捕された事件だ。  この様子はなぜか撮影されており、マンションのエントランスで血まみれで倒れる男性の横で、高岡被告がスマートフォンを耳に当てながら煙草を吸っている画像がSNSで拡散された。  その後、供述で「好きで好きでしかたなかった」と発言したことから、一部のぴえん系女子たちからは歌舞伎町のメンヘラの最上級として、「私も好きな人を殺したい!」と称賛されたのだ。彼女に憧れたぴえん系女子たちが、プリクラの落書き機能を使い再現することが流行したほど。  この事件は海外の病みカルチャーを愛する女性たちにも伝わり、現在もInstagramなどのSNSには国内外問わず彼女のファンアートが投稿され、「ヤンデレ」の象徴として神格化されている。  このようにファッションとしてカジュアルに死や血といったものが消費していくのも、ぴえん世代の社会観なのだろうか……。多様な意味合いを持つぴえん、そして危険な歌舞伎町の若者文化。次週は、そうしたリスカやODが蔓延するぴえん世代のなかで、大きな問題になっている“自殺カルチャー”について紹介していく。

「ぴえん世代」新語辞典

・ぴえん系女子 量産・地雷型と言われるファッションとメイクを身にまとい、「ぴえん」「~しか勝たん!」といった言葉を日常的に使う。そんな自分が好きだし、SNSにすぐ投稿する。二次元やアイドル、ホストなど何らかの「推し活」をしている女子が多く、「推し活をして病む自分」までがマイファッション。「ぴえんだね~!」の意味は「B型だね~!」くらいのディスと褒め。 ・好きで好きでしかたなかった ’19年に起きたホスト殺人未遂事件の加害者が逮捕時に発言した言葉。一部のぴえん系女子の間で「私も好きな人を殺したい」と話題に。事件時に撮影された、倒れた男性とその横で血まみれで煙草を吸い電話をする加害者の様子を模したプリクラのポーズが流行。刺されたホストはその後「痛みに負けルナ」と源氏名を変えてホストを続投し、賛否両論が巻き起こった。 【女子大生ライター・コラムニスト・佐々木チワワ】 現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki 写真/tsubasa_works12
現役女子大生ライター。10代の頃から歌舞伎町に出入りし、フィールドワークと自身のアクションリサーチを基に大学で「歌舞伎町の社会学」を研究する。歌舞伎町の文化とZ世代にフォーカスした記事を多数執筆。ツイッターは@chiwawa_sasaki

「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認

21歳・現役女子大生ライターが送る、衝撃のデビュー作!

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