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海外メディア記者から見た東京五輪「日本の報道はあまりに『内向き』」

五輪を巡る各国の思惑とコロナ禍の開催が残すもの

東京五輪

東京ビックサイトのメインプレスセンター(MPC)内部の作業スペース。各国の記者やカメラマンが24時間態勢で五輪記事を自国に送る

 無観客を憂慮しているのはジャマリ氏だけではない。中国から来たテレビ関係者が話す。 「中国チームは史上最多の人数で参加しており、時差がないため国内での注目度も高い。特に中国が強い種目では、無観客のゲームが視聴者の熱気に水を差すことのないよう、関係者が会場に足を運んで盛り上げるようにしています」  現在、SNS上で中国人選手だけに声援が送られる様子に疑問が投げかけられているが、彼らなりの援護射撃という意味合いのようだ。  人権問題を理由に北京大会のボイコット論が浮上している点には「自国が国際社会で認められることを望むのは、中国庶民の普遍的な心理です。北京大会に政治的な理由で抵抗する国がありますが、一庶民としてとても落胆しています」と残念な様子だった。

韓国メディアは批判的な報道が目立つ

 韓国メディアは日本との冷え込んだ関係が影響してか、東京五輪に批判的な報道が目立つ。 「韓国では『アンダーコントロール』と安倍首相がウソをついた福島の原発問題に端を発し、保守系、進歩系ともに批判的です。確かに韓国の報道は感情が反映されやすい面があります。でも、それは日本も同じことでは?」  韓国のテレビメディア関係者はそう反問する。韓国の『国民日報』がビクトリーブーケを「福島産の花束で放射能への懸念」と報道したのはさすがに過剰反応ではないかと聞くと「逆に、日本人が放射能汚染を気にしていないことに驚きました。日本だからではなく、選手たちに悪影響を与えるかもと懸念を持ったためであり、報道するのは当然ではないでしょうか」と語気を強めた。
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