更新日:2023年08月30日 20:18
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海外メディア記者から見た東京五輪「日本の報道はあまりに『内向き』」

開会式への反応は?

東京五輪 開会式直前、演出陣の退任劇が世界に恥をさらしたと日本では大きく報道されたが、海外ではあまり気にしていないらしい。英・BBCスコットランド支局のクリス・マクラフレン氏は、イギリスメディアは開会式を概ね好意的に報じたと話す。 「オリンピックのスキャンダルはつきものです。確かに解任された彼らの過去の言動は看過できるものではありません。かといって、あれらの不祥事が日本の文化や国民を象徴していると思う人はいないでしょう。イギリスでは3日もすれば忘れられる扱いでした」  フローラン・ダバディ氏は、フランスのスポーツ紙『レキップ』の特派員として取材にあたる。フランスは’24年にパリ大会を控え、唯一国家元首として開会式に列席したマクロン大統領をはじめ、政府関係者もメディアも日本に連帯を感じており、国営放送では五輪中継の視聴率も高いそうだ。 「ただ、銀座のホテルからMPC(メインプレスセンター)への道中、バスから街を見ていると、オリンピックのノボリや応援する国の国旗は一切視界に入ってこない。アシックスの応援Tシャツを着た子供の姿なんかを見かけることもない。ここまで盛り上がらない大会は本当に寂しいし空しい」
東京五輪

東京都江東区の東京ビッグサイトに開設された各国報道陣の拠点となるメインプレスセンター(MPC)

日本の報道はあまりに「内向き」

 また、日本の報道があまりに「内向き」なことも残念だと言う。
東京五輪

フローラン・ダバディ氏

「柔道の阿部詩選手が決勝でライバルであるフランスのブシャール選手に勝ち、試合後に2人で抱き合っていました。とても感動的なシーンでした。翌朝日本のスポーツ紙をみんなで見ていたら、大きく紙面を割いているのに、抱き合ってる写真は一枚もない。同僚は『なぜ? あれこそが五輪精神じゃないの!?』って驚いていました。  僕は日本贔屓だけど、何も答えられなかった。このまま閉会して、果たしてオリンピックを開催してよかったと日本のみなさんが思えるのかどうか。僕はまだ半信半疑です」  記者向けプレイブックの帰国のページには「あなたの滞在期間を最小化することが、大会の安全と成功を確実にする」と記載されている。このままではとんだ「おもてなし」に終わりそうな気配だ。
東京五輪

記者向けプレイブックの帰国に関する指針。目的地に到着するまでは指針に沿うようにと、まるで「遠足は家に帰るまで」と諭すような内容

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濃厚接触者認定BBC記者の苦い夏
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