更新日:2023年08月30日 20:18
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海外メディア記者から見た東京五輪「日本の報道はあまりに『内向き』」

濃厚接触者認定BBC記者の苦い夏

「開幕の1年前から会議を重ね、五輪取材の綿密なスケジュールを作成してきました」
東京五輪

クリス・マクラフレン氏

 7月15日、英・BBCスコットランド支局の特派員マクラフレン氏一行は東京入りし、有明のビジネスホテルに投宿した。  マクラフレン氏はテレビ中継のリポーターが主な役割だが、その他ラジオ中継、Web記事の執筆、SNS対応まで担い、3日間の隔離を終えれば、多忙な日々を送る予定でいた。  ところが、渡航便にコロナ陽性者が乗り合わせていたことが判明し、支局の取材チーム3名全員が濃厚接触者に認定されてしまう。そして、7月30日まで14日間の隔離延長を強いられた。 「同行したプロデューサーからその報せを受けたとき、ホテルの部屋がどんどん狭まっていくような錯覚を覚え、受け入れるのに2日はかかりました。でも、怒っても意味がありません。こういったリスクがあることを承知の上で、私たちは日本に来たわけですから」

大阪で食べたお好み焼きが恋しい…

 今は気持ちを切り替え、ラジオ出演など、できる仕事をこなす。一日に一度だけ許される短い散歩の時間以外、彼らにとっては相当狭く感じられるビジネスホテルのシングルの部屋で過ごすしかない。
東京五輪

マクラフレン氏が執筆したBBCWebサイト上の記事。濃厚接触者に認定された経緯と有明のビジネスホテルでの生活が綴られている

「幸い、BBCでは支局間の協働体制がありますし、スコットランドに残っているスタッフのサポートも手厚く助かっています。ホテルは、まあ、旅行で選ぶような部屋ではありませんが、いまのところ大きな不満はないです。  朝ご飯はドアの前に届けられ、昼食と夕食はウーバーイーツなどの出前頼り。昨日は私が和食で一番好きなお好み焼きにしました。それなりにおいしかったですが、やはり、以前大阪で食べた焼きたてが恋しいですね……」  解放後も行動は厳しく制限される。海外記者らにとって東京五輪は苦い思い出となるに違いない。
東京五輪

朝食はホテルが用意したものが毎朝ドアの前に届けられる。フルーツやデニッシュ、卵の洋風メニューで、味はまずまずだという

【アミン・ジャマリ氏】 44歳。スポーツフォトグラファー。弁護士。ドイツを拠点とし100人以上のフォトグラファーが所属するATP Images の共同創設者 【フローラン・ダバディ氏】 フランス出身。ジャーナリスト。46歳。サッカー日本代表トルシエ監督のアシスタントを務めた。仏・日・英など計7か国語を操る 【クリス・マクラフレン氏】 英・国営放送BBCスコットランド支局のスポーツニュース特派員。サッカー関連の報道に長く携わる。テレビ報道のリポーターの他、ラジオやWeb記事の執筆も行う 取材・文/池田 潮 取材・翻訳/ディーン ハルナ 取材・翻訳/太田 玄一郎 取材/村田 孔明 大田 栄作 写真/朝日新聞社
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