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西成の元日雇い労働者たちが作るクラフトビール「暴動エール」の味とは

寛容な街、西成

 最後に、山﨑社長に西成の将来について聞いてみた。 「大阪はグルメにしても観光地にしても昔から名物が決まってしまっていて、それが何年も変わらないんです。  しかし、西成は戦後の暴動事件を経てバブル崩壊やインバウンドバブルを通して大きく変化しています。数年前には海外旅行者の間でバックパッカー街として取り上げられたり、外国人スナックの参入や外国人の移住、星野リゾートの建設など様々な変化に対して寛容的なんです。  その点は大阪の中で1番優れていると思っていて、コロナが落ち着いて外国人旅行者が戻ってきたらよりグローバルな街になるかもしれない。将来的にどうなるかは分からないけれど、きっとよくなっているだろうと思わせてくれるのが西成の魅力でもありますね」

苦みとフルーティーがマッチした珠玉の一杯

西成ライオットエール

オンラインショップでも購入できるが、HPでは直接味わうことができるお店も紹介されている

 取材を終えた後、西成の格安ホテルで「ライオットエール」を飲んでみた。少し苦味のあるペールエールの中にほんのりと感じるレモン果汁のフルーティーさ。西成暴動を経験したオッチャン達の苦味や記憶とともにビールに懸ける熱情(レモンの花言葉)を思い起こさせる……。  普段、苦めのビールはあまり飲まないのですが、美味しくて一気に飲んでしまった。西成のオッチャン達の逸話をヒントに誕生した「西成ライオットエール」。西成の新たな名産品となるその日まで、山﨑社長の挑戦は続いていく。 文/カワノアユミ
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano
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