“菅首相離れ”が進む地元経済界は林氏の支援へ
菅首相と小此木氏の方針変更を批判する林文子市長
地元経済界でも菅首相離れが急速に進み、小此木氏への追い風どころか逆風になっていることを物語る。小此木氏と菅首相のカジノ誘致をめぐる方針変更については、「カジノ推進」の旗を降ろさない林氏も街宣で次のように批判していた。
「今まで自民党と公明党とでIR(カジノ)を進めて来たのに、急に『横浜ではやらない』と決めたようです。国の重要な政策だったのになぜ、急に止めになったのか)」
また林氏支援に回った自民党市議6名も
「今まで『IRをやろう』と言っていたのに何の理由もなく、『IRやらない』なんて考えられない」として、菅首相に足並みをそろえなかった。4年前は自公の支援を受けて当選した林氏が今回の市長選では、
「『自民党』ではなくて『市民党』になった」「今回の選挙は『政党』対『市民と経済界』という構図」と訴えているのはこのためだ。
小此木氏はカジノ推進派からは突然の方針変更を批判される一方、カジノ反対の市民からも全幅の信頼を得られていないようだった。
告示日の第一声で小此木氏は次のように訴えていた。
「『IRを本当に止めるの?』と4割の方々は疑いの眼差しで見ている。恐らく『どうせ菅さんと結託して当選して、ほとぼりが冷めたらもう一回カジノ誘致をやり直すのだろう。前の人(林市長)がそうだったではないか』というのが有権者の正直な思いでしょう」
“ハマのドン”が断言「山中氏の当選で、菅首相は終わりだ」
山中竹春・元横浜市立大学教授(左)の応援演説を行う、藤木幸夫・横浜港ハーバーリゾート協会会長
カジノ推進派と反カジノ派の両方から突き放される中で小此木氏の票は伸び悩んでいたともいえるが、自公支持者(保守層)がほぼ真っ二つになっていく中で、一歩抜け出したように見えるのが山中氏だ。
“ハマのドン”と呼ばれる藤木幸夫・横浜港ハーバーリゾート協会会長も、
告示前の外国特派員協会の会見では小此木氏勝利を予測したものの、告示日に直撃すると
「(あの発言は相手陣営を)油断させるため」と語り、続く応援演説では
「山中さんが当選するのは間違いない」と正反対の予測を口にした。
そのうえで藤木会長は、山中氏への支持を次のように呼びかけた。
「これから山中さんのために私も頑張る。皆さん、『藤木が頭を下げていたな』と(思い出して)俺も頑張ろうということで、私を助けてください。私の夢を実現させて、私と一緒に万歳をさせてください」
8月17日に横浜市内で開かれた決起集会で、山中氏への支持を呼び掛ける藤木幸夫会長
また8月17日には港湾関係の幹部を集めて「山中竹春氏 横浜市長選 決起集会」が開催された。約150人の参加者に向かって、藤木会長は「この男をよろしく」と訴え、電話かけによる支持拡大を訴えた。
藤木氏は挨拶で
「横浜には地方自治がない」と問題視。林文子市政が背後関係によって動かされているとも訴えた。そこで集会後、筆者は藤木会長を直撃した。
横田:山中氏当選で横浜市政の背後関係を断ち切るのですか。
藤木:そうだ。
横田:背後関係とは“影の市長”こと菅首相のことですよね。
藤木:みんな分かっていることだ。山中氏の当選で、菅首相は終わりだ。
「林市長にカジノ誘致表明を促した“影の市長”の影響力を断ち切り、山中市長誕生で横浜は菅首相の支配から脱却する」というのが藤木氏の考え方なのだろう。
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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