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都市部タワマンに求めてみたい“団地ライフ”という蜜月時代

 あらゆる年代の人がいる職場はまさに“世代のルツボ”。特に社会に出て間もない人にとって、過重労働が社会問題になっている時代にあって嬉々として“徹夜仕事”をしたり、なんでも電子化、レンタルできる世の中で“モノにこだわる”40代以上の世代は奇異に映るかもしれない。  社会の文脈的に“ロスト”されてきた世代は、日々どんなことを想い、令和を楽しもうとしているのか。貧乏クジ世代と揶揄されつつも、上の世代の生態をつぶさに観察し、折衝を繰り返してきたロスジェネ世代の筆者ふたりが解説していく。

マンション購入のメリットは「団地ライフ」に学ぶ?

ロスジェネ_9「ずっと賃貸生活一筋でしたが、昇進・昇給に合わせて都心にマンションを購入しました。金額もやや背伸び。妻とのダブルインカムだからこそなせる技…なんて同期や後輩たちには茶化されましたが、老後の住まいの心配がなくなったし、世帯数が多いおかげで子供達にたくさん友達ができそうなのも魅力かな、なんて思いました。良い買い物だったと思いたいですね」(通信・46歳) 『安いニッポン』(中藤玲・著)にも記されているように、約20年もの長きに渡り日本人の給与はほとんど上がっていないと言われています。物価の上昇も先進国の中では万年下位…。  そんな中、特に東京都内のマンションだけは値上がりし続けているようで、「2009年の東京23区の新築マンション価格の平均値は5190万円、中央値は4680万円だったが、2019年上半期には平均7644万円(09年比147.3%、以下同)、中央値6698万円(143.1%)と大幅に上昇している」(出典:日経ビジネス「東京23区の新築マンションの平均価格がバブル期超えのワケ」)のだそうです。 「給料は上がらないのに家も買えないのか!」と、バブル以降辛酸を舐め続けてきたロスジェネ世代の諸氏においては思わず嘆きたくなる昨今の住宅事情です。コロナ禍を経て状況が変わったかというとそうでもなく、「マンションを手放す人が減ったことで供給量も減りましたが、マンション購入の需要が増えたため成約価格が上がりました」(出典:マイナビニュース「2021年マンション価格推移をグラフ化!5大都市の動向と買い時も解説」)とのことです。そんな折に念願かなって購入できた方はかなりラッキーな方なのかもしれません。

タワマン生活から去来する昭和の風景

 都心部においては、特にタワーマンションが根強く人気です。冒頭の方のようにお子さんがいたりすると、リッチな共用スペースなどの存在も手伝ってちょっとしたコミュニティ化したりもするため、各戸それぞれで状況が違う戸建てよりも「友達が作りやすい」「困ったことを相談しやすい」というような昭和の頃のような“醤油の貸し借り”感も魅力の一つなのかもしれません。  近隣のお付き合いが苦手で…という方はさておき、子育てを含む今後の生活のあれこれを、身近に併走してくれる“戦友たち”がいてくれるのは、実は大きな安心材料の一つなのかもしれません。  こんな都心のマンション事情、タワマン事情を聞くと、ロスジェネ世代の筆者はどこか懐かしさを感じてしまいます。我々世代の多くが生まれ育った「団地での日々」をどうしても思い出してしまうからです。  ましてや新型コロナによる感染リスクのさなかです。自由に遊びにいけない子育て家族を抱えるロスジェネファミリーにとっては、あの団地のような安心感をもって過ごしている方も中にはいるのではないでしょうか。
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団地生活の“パッケージ感”
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