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5000円で沖縄、石垣、札幌など航空券が当たる。LCCピーチの「旅くじ」は予想以上に熱かった

開店時には30人の行列ができる

 そこで筆者は10月13日、東京での販売開始のお披露目にあたり、取材に向かった。当日の様子をレポートしたい。
ピーチ 旅くじ

1番乗りの女子大生が東京初の旅くじを引く

 朝11時の渋谷PARCO開店時間とともに購入希望者が列を作った。その数およそ30人以上。最前列は始発電車で駆けつけたという大学生3人グループだった。いの一番に旅くじを購入したのは井出千愛(ちなり)さん。新千歳への権利が入っており、「一番の希望場所が当たりました。祖母がいるので会いに行くのが楽しみです」と破顔した。  二番目に引いたのは、渡辺豪太(ごうた)さん。関西行きを引き当てた。「大阪は行ったことがないので、めちゃ楽しみです」。3人目の大谷真生(まお)さんは釧路行きだった。「釧路は初めてです。北海道がいいと思っていたので、嬉しいです」とコメントした。  3人が同じ目的地になることは確率的には低い。それでも、同時に旅に出て、SNSで繋がるのがいいのだという。旅の後にそれぞれの経験を報告しあうのも楽しい時間であると言っていた。なるほど……そんな楽しみ方が出来るのも、SNSやネットが発達した“今”だからこそできるもの。10年前までなら、想像も出来なかった旅の楽しみ方である。
ピーチ 旅くじ

行き先を披露し合う大学生グループ

「旅くじ」の開発者が語る「くじを引いた瞬間から始まる旅」

 この商品を開発したのは、ピーチアビエーション 大阪本社 事業戦略室 カスタマー&ブランドコミュニケーション部のブランドマネージャー小笹俊太郎氏である。 「コロナ禍で自粛が続いたが、感染者も収まって来た中で、社内でお客様がワクワクできる何かやろう。という声が出てきたものを形にしました。くじにしたのは、どの目的地が出るかわからない期待感が持てるから。  PARCOさんに置かせていただけたのは、利用者層が近いことと、好奇心の多い層がそれぞれの顧客の特徴でもあるからです。くじを引いてもらったところから旅は始まると思っている」 大阪の事例では、「当初、若年層にターゲットを絞っていましたが、時間の経過とともにSNSで拡散され年代層も上がってきて、今ではPARCOの開店と当時にお年を召したご夫婦が走りこんできて購入されるケースもあります」と広がってきた。 「販売開始前は一日1個の予想でしたが、最大で一日150個売れたこともあります」というヒット商品となった。PARCOの店舗展開がピーチアビエーションの就航地にあることから、設置場所が増える可能性もある。
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「旅くじ」開発者は異色の経歴
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航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing

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