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安倍・竹中・菅路線がどんなに悲惨な現状をもたらしても自民党は「自己否定」できるはずがない<慶大名誉教授・弁護士 小林節氏>

権力者は自己否定ができない

 今回の岸田内閣の人事を見ても、事前に言われていた事ではあるが、やはり、現に権力を握っている人々自身による自己否定(「党改革」)など、できるものではない。  自民党の一番の病根は、政治家の「世襲」である。  なぜ世襲が行われるのか? は、少し考えてみれば誰にでもすぐに分かる。それは、政治家であることが当人にとって「おいしい」からである。現に、自民党政治家は皆、一見して豊かである。つまり、彼等は名誉に加えて高収入が保障された地位にある。だから、できるだけ長くその地位に居続けようとする。そして、最後に引退せざるを得なくなると、子孫にその「利権」の地位を譲ろうとする。そこで、政治家という利権屋が「家業」になってしまう。代々政治を家業にする家で生まれ育った者は、政治の目的が主権者国民大衆の福利を増進することだという事など固より知っておらず、地位を利用して一族郎党(自分と系列の地方政治家、秘書、後援者等)の利権を維持・増進することに勤しみ、選挙の時だけは有権者の「皆様の代表」を演じる振る舞いには長けていく。

政権交代こそが国を救う

 有権者は、これまで何回も自公政権に期待しては裏切られてきた。だから、もはや彼等の言う「改革」に期待すべきではない。  やはり、「自ら救う者」以外は救われないのである。そして、その方法は「政権交代」である。  もちろん、旧民主党に対しては不満もあるだろう。しかし、政権交代が実現すれば、何よりも行政府の中に秘匿されている「モリ・カケ・桜・東北新社等」に関する正確な記録が公開できる。それがあれば、権力者による犯罪が明らかになり、初めて真の政治「改革」が断行できる。有責者には責任を取らせなければならない。それこそが他の何よりも重要な第一歩である。 <初出:月刊日本11月号> こばやしせつ●法学博士、弁護士。都立新宿高を経て慶應義塾大学法学部卒。ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。著書に『 【決定版】白熱講義! 憲法改正 』(ワニ文庫)など
―[月刊日本]―
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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月刊日本2021年11月号

【巻頭インタビュー】議会は民主主義の砦だ 衆議院議長 大島理森
【特集1】傀儡政権の耐えがたい空虚
【特集2】政治と一体化する警察
【特集3】原敬暗殺100年 いま原敬から何を学ぶか


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