この総裁選で麻生・安倍の時代は終焉を迎えるか?<元自民党幹事長・山崎拓>
―[月刊日本]―
石破不出馬表明で河野圧勝か?
―― 菅首相は9月3日、自民党総裁選に出馬しないと述べ、事実上の辞任を表明しました。菅退陣をどう受け止めていますか。
山崎拓氏(以下、山崎): もともと菅首相は「パラリンピック直後に解散し、その勢いで総選挙を乗り切り、そのまま総裁選を省略化して再選を果たす」という思惑を抱いていました。ところが、8月の感染爆発で緊急事態宣言の延長に追い込まれ、お膝元の横浜市長選でも惨敗してしまった。その結果、菅首相は完全に求心力を失って解散権も封じられ、総裁選出馬を断念せざるをえなくなったのです。
菅総理がコロナ対策にベストを尽くしたことは間違いありませんが、国民の理解や納得を得ることはできなかった。その意味では気の毒ですが、説得力に欠けるという点でトップリーダーには適任ではなかったということです。
―― 総裁選は9月17日告示・9月29日投票の日程で行われ、9月8日現在では岸田文雄氏、河野太郎氏、高市早苗氏の3名が出馬の意向を表明しています。(編集部注:その後、16日に野田聖子氏が立候補し、この4名で争われることになった)
山崎 総裁選の焦点は、「誰が新総裁ならば総選挙に勝てるか」ということです。総裁選は議員投票と同時に党員投票を行いますから、国会議員は党員票で優勢な候補に投票する傾向があります。
現時点では石破茂氏が態度を明らかにしていないため、総裁選のシナリオは二通りあります。すなわち、石破氏が出馬した場合と出馬しなかった場合のシナリオです。
まず石破氏が出馬した場合は、党員票は石破氏と河野氏で割れ、それゆえ議員投票も割れるでしょう。一方、石破氏が出馬しなかった場合は、候補者の中で最も人気のある河野氏が党員票を独占して圧勝するのではないか。未だに「岸田氏が勝つ」と思っている人もいますが、河野氏に分があるという見方のほうが強いと思います。
この構図は、森内閣から小泉内閣へ交代した20年前の状況に似ています。2001年当時、参院選を控える中で森内閣は国民の支持を失い、自民党に対する逆風が強まりました。
そのため森総理は3月に「今年秋の総裁選を繰り上げて実施する」と述べ、事実上の退陣を表明。翌4月の総裁選で国民的人気のある小泉氏が当選し、自民党は7月の参院選で勝利することができました。
もちろん当時はパンデミックの状況はありませんでしたが、国民の支持を失った総理が退陣を表明する、総裁選で国民的な人気のある候補が勝つ、そして国政選挙で勝利する……という流れは同じです。
今回の総裁選では「森役」が菅総理、「小泉役」が河野氏になりそうです。森元総理と小泉元総理は同じ派閥の先輩・後輩の関係でしたが、菅総理と河野氏も同じ地元の先輩・後輩の間柄です。この点も似ています。
注目すべきは、石破氏の役回りです。2001年当時、田中真紀子氏は国民からの人気はありましたが、議員からの支持は少なかった。そのため総裁選への出馬を断念して小泉支持に回り、小泉内閣で重要な地位を占めました。その結果、〝小泉・田中フィーバー〟が起きて、自民党は参院選に勝利したわけです。
この「田中役」を務める可能性があるのが石破氏です。仮に石破氏が不出馬で河野支持に回り、「河野・石破連合」ができれば、自民党は総選挙を乗り切れます。前回の総選挙は勝ち過ぎましたから、これ以上議席が増えることはありませんが、現状維持か微減で済むはずです。
2001年の自民党は森総理から小泉総理に交代して参院選で勝利した。2012年の自民党は菅総理から河野総理に交代して衆院選で勝利する。こういう流れが生まれつつあるのかもしれません。
石破茂の勝機も十分にあった
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げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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『月刊日本2021年10月号』 【巻頭インタビュー】元自由民主党幹事長 石破 茂 【特集1】自民党は歴史的使命を終えた! 【特集2】なぜ今ロックダウンなのか 【特集3】アフガン退避作戦失敗、茂木外相は即刻辞任せよ
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