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安倍・竹中・菅路線がどんなに悲惨な現状をもたらしても自民党は「自己否定」できるはずがない<慶大名誉教授・弁護士 小林節氏>

―[月刊日本]―

総裁選公約の無責任

自民党 自民党総裁選告示直後に届いた自民党機関誌『自由民主』の特集号を開いてみた。四候補それぞれに表現は違っていても、全体として同じ方向を向いていた。要するに、党改革、全世代が暮らし易い社会、国民所得の引き上げ、地方の活性化等、ほぼ同じことを主張していた。  しかし、これは、実質的に、安倍・菅内閣が9年もかけて推進して来た政策の自己否定を「約束」するに等しく、そんな事は、自民党が自民党である以上、できる筈がないと私は思った。

自民党政治の帰結

 安倍・竹中・菅政治がもたらした悲惨な現状は、隠しようもない。それは、政治を拘束する規範である憲法の否定から来るものである。  まず何よりも、多数の国民の生存権(25条:健康で文化的な最低限度の生活の保障)が害されている。それは、「新自由主義」などという美名で粉飾された「弱肉強食型資本主義」政策の結果、富が偏在して多数の貧困層が生まれている事実である。  日本国憲法は、弱肉強食型の古典的な資本主義を明文で否定している。まず、25条(生存権)の規定が、自由競争の結果として生じる格差を公的に再分配or予防することを政府に命じており、その様な「公共の福祉」(つまり、皆が共存共栄できる社会状態)を守るという条件付きで財産権の自由を認めている(29条1項)。だから、新自由主義の経済政策などという基本方針自体がそもそも憲法違反なのである。  その延長線上で、労働法制の改悪により労働者の地位が全般的に不安定になってしまった。加えて、年金、医療、介護、教育支援といった福祉の切り下げと、さらに増税が加わり、国民の過半数の生活は確実に苦しくなっている。  この現実は、他ならぬ自公政権がもたらしたものである。  さらに、「地方の活性化」のお題目も、既に何十年も聞き飽きたが、未だに何も前進していない。それは、実は自民党と中央官僚達にその気がないからであろう。なぜなら、彼等にとっては、中央集権型の現状の方が利権分配のシステムとして都合が良いのだと思う。本当に地方の活性化を進めるつもりがあるならば、国から地方に決定権と財源を移譲する基本的な法律を一本制定すれば始まるのに、現実には掛け声ばかりで何も前進していない。
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政権交代以外に国を救う道はなし
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