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パチンコとタバコ。未来の客と今の客を巡る業界の現実

座席で喫煙OKのホール。そのワケとは……

 ただコロナなのか禁煙の影響なのか分からないとしても客数が減っているのは確実で、さらに広告宣伝も難しい状況の中、苦肉の策とでもいうべきアピールをするホールが増えています。それが喫煙可能、しかも喫煙室ではなく席で打ちながらタバコを吸えるというもの。  なんだ、全面禁煙じゃないのかとか、そのそも法を守っていないんじゃないかと思う人もいるかもですが、電子式のタバコについては一定の条件のもとで禁煙や分煙が不要とされ、「タバコ吸えます」なんていうポスターが掲出されています。ただ一定の条件というのはタバコを吸えない20歳未満がいないという前提で、電子式タバコが吸えるエリアには従業員はもちろん客も20歳未満では入れません。  ちなみにパチンコ・パチスロは18歳になってからであり、つまり電子式タバコをOKにしている店はそういう若年層の客を完全に捨てていることになります。若い人が打たなくなった、メインの客層は30代以上なんて言われているパチンコ・パチスロだけに、若年層を切り捨てても喫煙者を集める方が経営的には正解なんでしょう。

将来の客を捨てる喫煙OKのパチンコ店

 でも趣味や嗜好っていうのは若い頃に覚えたものが一生続く傾向が高く、筆者や筆者の周囲も堂々と打てない年齢からパチンコ・パチスロを始めたという面々ばかり(ちなみにタバコも、ですけど)。ましてや18歳なんてちょうと社会に出たり大学に入ったりして、先輩からいろいろと大人の遊びを教わる年齢。そこでパチンコ・パチスロに触れられなければ、ずっと打たないままになる可能性も大きいはず。 「将来の見込み客を切り捨てるのと同じですよね」という質問もホール店長(筆者同様に堂々と打てない年齢にデビューした人ばかりです)にぶつけることもありますが、それは分かっているけどという答えが返ってきます。  要は未来の客より今の売上げであり、将来のことを考える余裕などないのが今の業界なんでしょう。なお20歳未満禁止の喫煙エリアに18歳の客がいたって、あえて身分証でもチェックしなければ分からないのも確かでしょう。でも高校生が制服で打ってても特に厳しく言われなかった時代ならいざしらず、今は明らかに若く見える客がいたら身分証の提示を求めるくらい厳しくなっています。  行政に見つかったら一発で営業停止案件だけに、そこだけ見て見ぬふりをしているとしたらそれはそれで大問題。18歳と20歳の違いなんて見た目でそうそう分かるものではありませんが、18歳未満同様に厳しく対応すべきでしょう。  いずれにしても禁煙化は避けられない流れだけに、店内に20歳未満が入れない場所を作ってまで電子式タバコを解禁するより、18歳になったらパチンコ・パチスロが堂々と打てるという分かりやすさが大事なんではないかなと個人的には思います。タバコを吸いたくなったら喫煙室に行って、頭をちょっと冷やすのも悪くないですし。 文/キム・ラモーン
ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。
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