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スッキリ、めざまし8、モーニングショー。朝の情報番組、視聴率戦争の実態とは

硬派の『羽鳥慎一モーニングショー』

モーニングショー

『羽鳥慎一モーニングショー』公式HP

「朝の情報番組の中身なんて、みんな同じじゃないか」。そう思っている方もいるようだが、もちろん違う。それぞれの個性がある。簡単に記したい。 『羽鳥慎一モーニングショー』は硬派。たとえば新型コロナ問題で政府に問題点があると思ったら、ガンガン追及する。かつては朝の情報番組の定番だった芸能ニュースははまずやらない。直言居士のコメンテーター・玉川徹氏(58)の存在が硬派色を強めている。テレ朝に勤務するサラリーマンでありながら、忖度の感じられないコメントをする。  12月3日放送で中国のテニス選手・彭帥選手(35)の問題を扱った際も硬派ぶりが際立っていた。彭選手が元副首相に性的関係を強要されたと告白した後、表舞台から姿が消えた件だ。これを受け、WTA(女子テニス協会)は香港を含む中国でのすべての大会を中止すると発表した。一方、IOC(国際オリンピック委員会)は彭選手の無事をテレビ電話でバッハ会長が確認したと11月に写真付きで発表している。  すると玉川氏は「金のIOCと人権のWTAということ」と解説。ド直球だった。ただし、母校・京都大が絡むニュースを伝える際にはメチャメチャ母校寄りになる。これが玉にキズか。

トレンド、エンタメ情報に強い『スッキリ』

『スッキリ』は軟派。トレンド情報に強い。12月3日放送では「ガチ中華」が人気を集め始めたことを取り上げた。「ガチ中華」とは耳慣れない。一体、何のことかと思ったら、味付けを日本人向けにアレンジしていない中国料理だった。  エンタメ情報にも熱心。9月15日放送ではボーカルユニット「PUFFY」の生ライブを用意した。ところが、バンドのメンバーがまだ楽器を手にしていないのにイントロが流れ始めてしまったた。SNS上では「放送事故」と指摘する声が相次いだが、事前収録済だった演奏を流すタイミングがズレてしまったのだろう。単純ミスだ。  半面、深刻な問題もあった。3月12日、アイヌ民族の方々を傷つける表現をしてしまった件である。信頼が一番肝心な情報番組だから、これは痛恨事だった。

事件報道なら『めざまし8』

めざまし8

『めざまし8』公式HP

『めざまし8』は事件に強い。世間が関心を抱きそうな事件が起こると、翌朝には必ず特集が組まれている。事件を担当する田中良幸・情報リポーター(41) が東奔西走。「田中さんの家庭は大丈夫なのか?」と心配になるくらいだ。フジの朝の情報番組は古くから事件に強い。1970年代から情報部門と報道部門が人事交流を行ない、取材したVTR素材の貸し借りも行なわれていたからだ。  今はほかの番組も情報と報道の交流があるが、以前は厚い壁があった。報道マンのプライドの高さが大きな理由だった。  次は番組の顔であるMCと番組を簡単に評させていただきたい。
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羽鳥、加藤、谷原。3人のMCの評価は?
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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