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スッキリ、めざまし8、モーニングショー。朝の情報番組、視聴率戦争の実態とは

羽鳥慎一(50) 抜群の守備力でエラーは皆無

 甘いマスクと声。スタジオまわしも抜群にうまい。コメンテーターの玉川徹氏やゲストが暴走しそうになると、ブレーキを掛ける。しかも観る側が違和感をおぼえるような急ブレーキは避ける。常に冷静そのもの。  番組が2015年にスタートしてから6年になるものの、失言などのエラーは皆無だ。羽鳥が野球選手だったら、間違いなくゴールデングラブ賞を獲り続けている。  番組の泣きどころは10代から40代に人気薄であること。また政府批判が目立ったジャーナリストの青木理氏(55)が今年3月末までコメンテーターを務めていたせいか、一部保守層のアレルギー反応も根強い。

加藤浩次(52) 純な男っぽさを評価する声

 加藤が2006年に『スッキリ』のMCに就いた時、芸能プロダクション関係者たちが心配したのは「声」だった。「ドスの利いた良い声だが、朝の番組には向かないのではないか」と言われた。  もっとも、それは杞憂に終わり、お笑い芸人独特のユーモアで視聴者を楽しませてきた。非道な犯罪を扱う際には声を荒げるような男っぽいところを評価する声も多い。番組のウィークポイントは前述の通り、関西で弱いこと。どうやら軟派路線とエンタメ重視が好まれていないらしい。

谷原章介(49) 関西で高い支持、子煩悩パパの視点

 NHK『うたコン』などの司会も務めているが、情報番組のMCは初めて。50歳近くになっても美男子という表現が似合い、しかも美声だ。関西で視聴率が高い理由の1つは、今年9月末に終了した『パネルクイズ アタック25』の司会を谷原が6年間にわたって務めてきたからだと言われる。制作が大阪の朝日放送で谷原への支持が厚かったためだ。  子供が6人いて、しかも有名な子煩悩。このため、子供が惨殺された事件では言葉を失うこともある。番組のウィークポイントはスタートから日が浅いところだろう。コメンテーターを含めた出演陣全体の一体感がまだ乏しいように映る。  取り扱う素材、MCの個性の違いによって、これまで同じように思っていた朝の情報番組がまったく別物であることがわかる。自分のニーズに合った番組探しをしてみるのも面白いかもしれない。 (視聴率はすべてビデオリサーチ調べ) <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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