お金

“お金の使い方を知らない”金持ちが幸せになれないワケ/上念司

充実していた日々はいつだったかを思い出す

毎日が興奮とエネルギーに満ち溢れていたのは、やはり大学4年間の弁論部の時代です。毎日のように仲間と議論し、週末は各大学の弁論大会に行って野次を飛ばして、終わってからは朝まで飲んで、他大学の知らない先輩の家に泊り込む……と、滅茶苦茶やっていたあの頃。確かに30歳そこそこで経済的にはある程度満たされて欲しいモノはそこそこ手に入りましたが、仕事は忙しく、自由になる時間はあまりありませんでした。それでも商売の勉強で得るものが多いうちは気になりませんでしたが、だんだん学習効果が薄れてくるとやはり退屈になってきます。 学生時代にできたことを、社会人になっても続けていくにはどうすればいいか? 結局そんなことばかり考える日々が続きます。そして、私は1つの答えに行きつきました。もっと儲ければいいんです。それでお金で時間を買って暇を作る。さらに、そのお金で弁論部の後輩たちといろいろなプロジェクトをするための「場」を作ればいい。具体的に言えば、私が永遠に大学4年生のポジションをキープし、後輩におごりまくっていろいろ面倒を見てやればいいんです。名付けて「永遠の4年生」プロジェクト。これだ!

学生雄弁界に恩返ししたい

しかし、これを実行するためには雇われ経営者のままではダメです。いずれ独立して自分でビジネスをやって成功させるしかない。創業し、会社を作り、後輩を応援するわけです。後輩を雇ってやる必要があれば雇い、独立したいなら援助する。現役の弁論部学生にはイベントの協賛などで援助しまくる。当然、頼ってきたらおごりまくり。 いつか、そんなことができたらいいなと思っていました。32歳で塾を辞めて独立し、3年ぐらいで仕事はある程度軌道に乗りました。儲かり始めて最初にやったことは弁論大会に広告を出すことです。当時、私と一緒に仕事をしていた後輩で、東大弁論部出身の瀧本哲史君のアドバイスを受け、東大総長杯に広告を出したのが最初だったと思います。 現在、私の会社の役員や取引先には弁論部の後輩がたくさんいます。また、私の出身母体である中央大学辞達学会のイベントには毎回広告を出しています。私やビジネスパートナーの勝間和代氏のイベントのアルバイトとして後輩を呼ぶこともあります。こういう形で、私を育ててくれた学生雄弁界に恩返しをする、そして後輩にメリットのある形で何かをやり続ける。そうやって後輩とのかかわりを維持することで、本当に永遠の4年生になったような気がしてきました(笑)。
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人生の問題の9割はお金で解決できる
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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