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“お金の使い方を知らない”金持ちが幸せになれないワケ/上念司

人生の問題の9割はお金で解決できる

時計

写真はイメージです

私が何を言いたいか分かりますか? 人生の問題の9割はお金で解決できます。でも、お金で簡単に解決できてしまうからこそ、実はそのことによって得られる幸福が長続きしないという面もあるんです。逆に、解決できない1割の問題は、お金でどうにもならないからこそ、実はそのことによって得られる幸福が長続きします。この点について慶応大学の前野隆司教授の論説を引用し、経済学の側面から説明したいと思います。 経済学者で米コーネル大学教授のロバート・フランク氏は、他人との比較によって満足が得られる財を「地位財」、他人との比較とは関係なく満足が得られる財を「非地位財」と定義しました。地位財は、お金、社会的地位、モノなど。非地位財は、健康、自主性、社会への帰属意識、良質な環境、自由、愛情などが挙げられます。一番の違いは、地位財による幸福は長続きしないのに対し、非地位財による幸福は長続きすることです。

「地位財」と「非地位財」

高級車を手に入れると、その瞬間は嬉しいかもしれませんし、きっと自慢したいでしょうが、多くの場合、やがて幸せは薄れ、また別の車が欲しいと思うようになります。お金、地位、モノを得ることによって得られる優越感は、はかないものなのです。 しかも、自慢されて嬉しい人などいませんから、あまり自慢ばかりしていると友だちをなくします。自慢は幸せにはつながらないと言うべきでしょう。一方、好きな人とドライブに行った思い出は、非地位財です。非地位財は、一生モノになりえます。 グルメ、海外旅行、理想の家に車などは典型的な「地位財」です。買った瞬間は幸せになれるかもしれませんが、その幸せはあまり長く続きません。これに対して、「永遠の4年生」プロジェクトは選ばれし者のみが得ることができる「非地位財」です。傍から見れば何の価値があるか分からない「非地位財」は、その人のアイデンティティに深く結びついているため、その幸せは長く続きます。
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じゃんけんで100回勝ちたければ…
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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