更新日:2012年12月18日 11:04
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【特集】震災直後の週刊誌報道を振り返る

◆震災記事[ベスト&ワースト]大賞【1】 『AERA』から『アサ芸』『東スポ』までスゴい記事&バカ報道を総まくり 「放射能がくる」の表紙がヒンシュクを買った『AERA』、「煽らない」を売り文句にしていた『週刊ポスト』など、いろいろあった震災報道。あれから4か月が経った今、日本社会の混乱ぶりを振り返る意味も込め、6人の目利きにベスト&ワールド記事を選んでもらった
森達也

56年生まれ。映画監督、作家。98年、オウム真理教を扱った映画『A』で注目を浴びる。『極私的メディア論』(創出版)、『A3』(集英社インターナショナル)ほか著書多数

「東京に放射能がくる」は福島の人々に対してあまりに無神経です 【選者】 森 達也  今回の一連の報道で森達也さんが特に注目したのは原発に関する記事。 「初期段階から『週刊現代』は放射線の危険を一貫して主張していましたが、日が経つにつれて記事が現実のものになってきた。『福島原発これから始まる「本当の恐怖」』(4/2号)でもチェルノブイリ級に発展する可能性について、早い時期に言及しています。これはベスト記事にしていいかな」  反対に『週刊ポスト』などは当初、いかに危険性が低いかを訴えていたが、「メディアがすべて足並みを揃える必要はない。そのスタンスの意義はあった」という。 「原発や放射能はどれほどに危険なのか、本当のところは誰にもわからない。数値化できないのです。だからこそ対立する見方があっていい。ただ、原理や理論を本当の意味で実感できない核融合を日常的に使う電気に活用するべきではなかったと、今になれば思います」  しかし、今の報道の論調が「反原発」と「原発擁護」の二項対立化していることには疑問を呈する。 「もっと違う視点から考える必要があるのではないかと。その点では、『すばる』(6月号)で中沢新一さんが『日本の大転換』と題し、エネルギーの存在論から考察していたのは注目に値すると思います」 ◆ベスト記事福島原発これから始まる『本当の恐怖』」(『週刊現代』4/2号) 「日本の原発は読売新聞とCIAが作った」(『FLASH』4/19号) 「日本の大転換」(『すばる』6月号)
日本の原発は読売新聞とCIAが作った

『FLASH』4/19号より。日本の原発の歴史と背景を紹介。「我々が歩んだ道を検証することは大事」と森さん

 一方、ほぼ足並みが揃っていたのは、菅首相叩きの記事。 「今はほとんどの週刊誌が批判してますよね。『菅直人、あんたという人は』(『週刊現代』4/2号)でも、『「ただいまから福島に行って参ります」と芝居がかった表情で宣言』って、別にいいじゃない。体制批判はメディアの大切な機能だけど、揚げ足取りどころか足を引っ張る記事が多いのは残念」  微妙なワーストは「東京に放射能がくる」(『AERA』3/28号)。 「福島の人々に対して『くる』はあまりにも無神経。東京中心の考えです。ただし、この号はガスマスクを強調した表紙の写真が危機を煽るとして批判されたけど、僕はそれは感じなかった。小さいものを大きく喧伝すれば煽りです。でも放射能についてはその危険性の大きさがまだ明確ではない。ならば命を守るためには、最悪の事態を考えるくらいでいいのでは」 ◆ワースト記事菅直人、あんたという人は」(『週刊現代』4/2号) 「東京に放射能がくる」(『AERA』3/28号)
菅直人、あんたという人は

『週刊現代』4/2号より。「泣いている場合か」「自画自賛している場合か」と見出しも詰問調で容赦なし

東京に放射能がくる

『AERA』3/28号より。「最悪の場合、日本はどうなるのか」と言いつつ、記されているのはほぼ首都圏のこと

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