更新日:2022年01月19日 14:41
エンタメ

武田真治が明かす「『筋肉体操』出演オファーに当初、戸惑っていた理由」

再び注目を浴びる契機となった『筋肉体操』

武田真治2

撮影/前 康輔

──前著『優雅な肉体が最高の復讐である。』の刊行前後あたりから、武田さんの鍛え上げられた身体が次第に注目されるようになり、2018年には『みんなで筋肉体操』(NHK)の放送が始まりました。この番組にレギュラー出演されたことで、「再ブレイクを果たした」なんて評する声もあります。 武田:ええ。『筋肉体操』に出たことで、新たに武田を認識してくれた方、改めて武田に注目してくれた方は多いと思います。 ── それに関連して、どうしても引っかかっていることがあるんです。前著の中で、武田さんは「身体を鍛えていることは自分だけの秘密にしておきましょう」と主張されていました。そして当時は「鍛えた身体を周囲に見せびらかすような姿勢は避けたほうがいい。人々からの称賛をモチベーションにしてしまうと、周囲のリアクションがなくなったときに、あなたは鍛えることを辞めてしまうかもしれない」「僕はあくまで自分自身と向き合い、自分の肉体の性能を少しでも上げたいという一点のみを原動力にして身体を鍛えている。モチベーションはあくまで自分の内側に置くべき」といったこともおっしゃっていました。 武田:そうですね。

「鍛えればこういう肉体を獲得できる」と伝えることも誠意

──現在、鍛え上げた肉体にフォーカスするような形でメディア露出することが増えたわけですが、以前おっしゃっていたことと齟齬が生じていませんか? ご自身の中で、折り合いは付いているのでしょうか? 武田:なるほど、鋭い質問ですね。トレーナーといった専門家の方々からよく言われることなのですが、僕の年齢でこれくらい肉体を保てているのは、やはりわりと珍しいことみたいなんです。つまりは、人々から憧れられたり、うらやんでもらえたり、真似したいと思ってもらえたりするような身体を獲得できているということ。  そんな肉体を一度でも人前で披露してしまった以上、フォロワーにせめて鍛え方くらいは責任持って伝えていきたい──そう考えるようになったんです。別の言い方をするなら、「武田真治の若さはちょっと特殊なケース」「たまたま恵まれた肉体を持っていただけ」なんて他人事のように感じさせるのではなく、「あなただって、鍛えればこういう肉体を獲得できるんですよ」と伝えることも誠意なのではないかと。  合わせて「僕だってこれくらい運動しなければ、この身体は維持できないんですよ」という現実も見ていただきたいと思っています。せっかく注目していただいたのだから、「これは奇跡でもレアケースでもなく、愚直に努力を重ねた結果なんです」と、きちんと種明かしをするべきかなと。  筋トレは己の健康増進と精神向上のためにするもの、という考え方は僕の中でいまも変わっていません。ただ「どうやって身体を鍛えていけばいいのですか?」「この部分はどうトレーニングしていますか?」などと質問されることが増えた以上、その問いには誠実に答えていくべきだろうと思うようになりました。  そして、テレビはやはりエンターテインメントショーですから、服を着込んだまま口頭で淡々とやり方を説明するのではなく、ときには多少のおふざけも交えつつ「タンクトップと短パン」といったトレーニングウェア姿で筋肉を見せながら実演することが求められてくる。
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『筋肉体操』に当初、抱いていた懸念
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上には上がいる。中には自分しかいない。

ふがいない自分を支えてくれたのは、「言葉」と「筋トレ」だった。

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