武田真治が明かす「『筋肉体操』出演オファーに当初、戸惑っていた理由」
先ごろ2冊目の著書となる『上には上がいる。中には自分しかいない。』(幻冬舎)を上梓した、俳優・ミュージシャンの武田真治さん。17歳でデビューした直後から脚光を浴び、ドラマやCMなどで華々しく活躍するも、20代半ばで体調を崩してしまい、大幅に仕事をセーブしなければならなかった。
本書には、休養当時のエピソードも含め、武田さんのこれまでの歩み、そして、これまであまり語られることのなかった低迷期の感情が丁寧に綴られている。なぜいま、過去を振り返ることにしたのか。そのきっかけは2021年初頭の新型コロナウイルス感染にあったという。
【前回記事】⇒武田真治、調子に乗っていた“CMキング”時代と『めちゃイケ』への深い感謝
──『上には上がいる。中には自分しかいない。』の前書きで、しまい込んでいた膨大なメモ書きが出てきたのは、新型コロナに罹患して家から出られなかったことがきっかけだったと語られています。
武田:2021年の正月早々、新型コロナに感染してしまったことが判明し、さらにそれが落ち着いたかと思ったら、続けてインフルエンザにもかかってしまったんです。結局、20日間ほど自宅で隔離療養することになったのですが、あまりにやることがないので部屋の整理したんですね。
そこでメモがぎっしり詰まった袋が引っ張り出されて、久々に過去の自分が書いたメモを読み返しました。スーツやコートを買ったときに商品を入れてくれるような、大きなショッパー(買い物袋)に2袋分くらいあったかな。
──部屋を整理するまで、メモの存在は忘れていたのですか?
武田:いや、そこに存在していることはずっと頭の片隅にはありました。もう何年も読み返していなかったというだけで。
──何歳くらいまで「メモを書いて、壁に貼る」ということを続けていたのでしょうか?
武田:30代後半あたりまでですね。新たにメモを書くことがほとんどなくなってからもそのまま筋トレ部屋の壁に貼り続けたので、40歳ごろまではメモを日常的に目にしていました。
──メモを壁から剥がすことになったきっかけは? 「もう、俺には必要ない」と思えるような出来事でもあったのですか?
武田:単純に、引っ越したからです。まぁ、そのタイミングで処分することもできたのでしょうが、どうしても捨てられなかったんですよね。
──それは、なぜ?
武田:「忘れたくない」という気持ちが、まずあったように思います。せっかく目にした“ドン底の景色”を覚えておきたかったというか。さらに、これから遭遇するかもしれない第2、第3のドン底に備える、という考えもあったかもしれません。
「また来るぞ、これ」みたいな警戒感ですね。実際、引っ越しをしたタイミングでは、まだトンネルを抜けきった感覚が持てていなかったので。またドン底に落ちるような状況になったとき、自分を支えてくれる「言葉」を持ち続けたかったのかもしれません。
新型コロナ、インフルエンザ感染で生まれた時間
“ドン底の景色”を覚えておきたかった
『上には上がいる。中には自分しかいない。』 ふがいない自分を支えてくれたのは、「言葉」と「筋トレ」だった。 |
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