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人間椅子・和嶋慎治の『イカ天』バンドブーム後の暗黒時代――売れない時代に経験したお金がない怖さ

 自伝本『屈折くん』を出版した人間椅子の和嶋慎治氏。幼少期、青年期、デビューから売れない時期だけではなく、女性関係についても赤裸々に描かれていることで話題を呼んでいる。なぜここまで明かすことを決意したのか、著者の和嶋氏に聞いた。

和嶋慎治

和嶋慎治氏

――本書は、とても生々しさのある内容でした。

和嶋:音楽でも文章でも、僕の作品ですから、やはりスタンスは同じです。一般的なアーティスト本とか、売れている方の本というのは、おそらくここまでプライベートを書く必要はないと思うんですよ。それこそ、誰もが憧れてしまうようなサクセスストーリーであったり、才能やカリスマのきらめきであったりを盛り込んで、読む人に夢を与えるような内容になると思う。その点、僕の本はこの上なく、ウェットですからね。ウジウジとしていて、しみったれたことばかりが書かれている。でも、それが僕のバンド生活でしたから、取り繕っても仕方がない。

――率直ですね。

和嶋:実際、そうだったもので。僕たち人間椅子は『イカ天(1989年2月~1990年12月までTBSで放送されていたバンドコンテスト番組「三宅裕司のいかすバンド天国」)』に出演して、幸いなことに多くの方に注目してもらえた。その結果、メジャーデビューもできて、数年はそこそこ順調に活動できました。ただ、バンドブームも終わって、どんどんアルバムセールスも落ち、メジャーの契約も打ち切られた。

――それでも、インディーズで活動を続けられますね。

和嶋:はい。インディーズでもアルバム制作を続けられたので、まだ恵まれていたのかもしれません。音楽を辞めてしまう同時代のバンドマンもけっこういましたから。とはいえ、一部の熱心なファンの方を除き、ほとんどの人は僕らの活動を知らないという状況がそれから10数年続くんです。それが数年前から少しずつ動員が戻り始めて、若い方を中心に新しくファンになってくれる人が増えてきた。

――大きな契機は、やはり音楽フェス「オズフェスト ジャパン 2013」でしょうか。人間椅子として出演するだけでなく、和嶋さんはももいろクローバーZのステージにもあがり、ギターを弾きました。

和嶋:オズフェストの影響は大きかったですね。メディアでもずいぶん話題にしていただきましたし、若い方たちが僕らの存在を知ってくれる機会になった。離れていたかつてのファンが改めて僕らの音楽に触れて、戻ってきてくれたケースもあるでしょう。この本のなかでは「暗黒時代」と表現していますが、人間が一度落ちて、もがき苦しんでいる時期を経て、そこから再生する……という物語が、今回の本において大きな主題になると思ったんです。

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「暗黒編」は包み隠さず書こうと決めていた

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屈折くん

人間椅子の中心人物、和嶋慎治による初の自伝!! 幼少期からバンド結成、現在までを明かす!!





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