人間椅子・和嶋慎治、初めて明かす結婚の過去――自伝『屈折くん』に込めた思い
初の自伝『屈折くん』を出版した和嶋慎治氏。ハードロックバンド人間椅子でギターとヴォーカルを務めており、51歳になった今でも精力的にバンド活動に邁進中だ。そんな『屈折くん』の内容は非常に赤裸々なもので、故郷の弘前で過ごした時代から、上京してのデビュー、売れない時期の苦しみ、そしてかつて語られたことがなかった結婚の過去まで明かしている。和嶋氏が自伝を書くにいたった理由、心境を伺った。
――初めての自伝、とても赤裸々な本でした。
和嶋:そうですね。変に格好つけるようなことはせず、無様なところや醜いところ、恥ずかしいところも含めて、隠すことなく書くことは意識しました。というか、僕はもともと自伝を書けるような立派な人間ではありません。そんな自分ができることは、正直に書くことくらいですから。
――どこか“中二病”的というか、十代のころの肥大化する自意識を持て余したまま成長してしまい、大人になってもどこかこじらせた感性を引きずっている文系男子……みたいな姿が、痛々しいやら、身につまされるやらで、妙に共感してしまいました。
和嶋:いや、お恥ずかしい。結局、僕もいまだにどこか自意識過剰なのだと思います。十代のころの感覚をずっと引きずっているようなところがある。そのせいで苦しんだりもしましたが、それでも何とか生きてきて、好きな音楽を続けてこられて、自伝を書いたりしているわけですから、本当にありがたいことです。
――本書は人間椅子のファン、和嶋さんファンでなくても引き込まれてしまう内容だと感じます。幼少期から現在に至るまで、これまでの人生のすべてをさらけ出すような、ある種の覚悟が行間から滲むというか。
和嶋:そんな、格好のいいものではないと思いますが、そう言ってもらえるのは嬉しいです。もっとも、これでもいちおう手心を加えていて、表現を柔らかくしたり、誰かに迷惑がかかりそうな事柄には触れたりしないようにしたんですけどね。ただ、今回はせっかくの機会なので、人間椅子を知らない人でも興味を持って読んでもらえるような本を書きたい……そう考えながら筆を進めました。
――筆致からは、大正、昭和の文豪が書いた文章と同じにおいが醸されているようにも感じました。
和嶋:おそれ多いです。そうですね、たしかに僕は、そうした作家の手がけた作品を子どものころからけっこう読んできました。その読書体験は自分の音楽活動、創作活動などにも多大な影響を与えています。結局、そういう文章が好きなんでしょうね。
『屈折くん』 人間椅子の中心人物、和嶋慎治による初の自伝!! 幼少期からバンド結成、現在までを明かす!! |
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