更新日:2022年01月19日 14:38
エンタメ

「コロナ→インフル連続感染」を経験した武田真治が“筋トレ習慣”を見直すまで

 先ごろ2冊目の著書となる『上には上がいる。中には自分しかいない。』(幻冬舎)を上梓した、俳優・ミュージシャンの武田真治さん。  17歳でデビューした直後から脚光を浴び、ドラマやCMなどで華々しく活躍するも、20代半ばで体調を崩してしまい、大幅に仕事をセーブしなければならなかった。本書には、休養当時のエピソードも含め、武田さんのこれまでの歩み、そして、これまであまり語られることのなかった低迷期の感情が丁寧に綴られている。  現在、「みんなで筋肉体操」(NHK)に出演するなど、鍛え上げられた肉体美でも注目されている武田さん。しかし、2021年からはトレーニングの量を減らしているという。 【前回記事】⇒武田真治が明かす「『筋肉体操』出演オファーに当初、戸惑っていた理由」

「鍛えすぎ」をやめようと決意した理由

武田真治1

撮影/前 康輔

──以前、『日刊SPA!』のインタビューで「日常的にやっているトレーニングは、ジョギングとベンチプレスだけ」とおっしゃっていました。現在はどのようなトレーニングをしているのですか? 武田:実はいま、身体を絞りすぎないように気をつけているんです。2021年1月に新型コロナにかかって、その直後にインフルエンザにもかかってしまったのは、身体を絞りすぎていたせいもあるんじゃないかと反省しまして。 ──身体を鍛えすぎたあまり、免疫力が下がってしまったかもしれないと。 武田:その可能性は否定できません。“絞られた身体=抵抗力の強い身体”ではないんだなと思い知ったというか。それで、ジョギングでいつも身体に疲労が残っているような状態はつくらないようにしています。この1年くらい、ジョギングは月に1~2回くらいしかしていませんね。  ベンチプレスもこの3~4か月はほとんど挙げていません。2021年10月から12月にかけてミュージカル『オリバー』の長期公演に出演していたのですが、僕が演じたのは70歳のお爺さん。むしろ胸板が厚くならないように気をつけていました。  そのかわり、衣装に隠れている下半身はちょっと意識して鍛えたりしましたね。老人らしい動きは日ごろしていないものなので、足腰に普段とは異なる負荷がかかりますし。  ただ、鍛えすぎないようにしようと考えた大きな理由は、アドレナリンで何でも解決するのはやめようと思ったからなんです。

アドレナリンも使いどころ次第

──トレーニング・ハイみたいな感覚に流されないようにしたわけですね。 武田:そのとおりです。たとえば舞台でもドラマでも、演出家から何か指摘されれば、役者は多少なりともストレスを感じるもの。当然、よい作品をつくり出すために必要なプロセスですから、そのストレスには意味があります。  指摘を受けて「いまの話はどう解釈すればいいだろう」「次はこんなふうに演じてみようか」「こういう動きが求められているのかな」と悩んだり、試したりすること自体が役作りに通じてくるので。でも、ストレスはストレスとして心に折り重なっていきますから、やはり苦しく感じる瞬間はある。  そうしてストレスを感じたとき、以前の僕は「なんかモヤモヤするな。ベンチプレスでも挙げるか」と、アドレナリンで解消していたところがあって。身体にガンガン負荷をかけて、「あぁスッキリした」「何て指摘されたんだっけ? 運動していたら忘れちゃった」なんてことが少なからずありました。でも、そればかりじゃマズイと思うようになったんです。  きちんと考えるべきことがあるときは、あまり運動に逃げないほうがいいのかもしれません。僕の経験上、適度な運動は集中力を高めてくれますが、ヘトヘトになるまでやりすぎると思考が大雑把になってしまうというか、課題に真っ正面から向き合う冷静さが削がれてしまう気がします。  もっとも、僕の頭は放っておくとすぐに屁理屈をこねはじめて、ネガティブなことばかり考えてしまう。堂々巡りに陥らないためには、筋トレしたり、走ったりするのはすごくいいんですけどね。まぁ、アドレナリンも使いどころ次第ということなんでしょうね。
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肉体だけでなく、精神を鍛えるために…
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上には上がいる。中には自分しかいない。

ふがいない自分を支えてくれたのは、「言葉」と「筋トレ」だった。

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