更新日:2022年01月31日 20:31
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<競馬>枠番を生かせる者は予想を制す。枠による有利不利をデータから検証

秋冬の中山開催、2020年と2021年ではまるで傾向が違った

 さらに、同じ時期の同じ競馬場でも、その年の天候によってまるで傾向が異なるケースもあります。  そこで、わかりやすい例として、好天に恵まれた2021年の秋~冬の中山の芝レースと、早々に荒れ馬場となった2020年の秋~冬の中山芝レースの枠による成績データを見てみます。すると、驚きの違いが見えてきました。 ・9~12月の中山芝枠別成績 1枠の成績 2020年 勝率 5.5% 複勝率 21.9% 単勝回収値 28円 複勝回収値 57円 2021年 勝率 11.5% 複勝率 28.4% 単勝回収値 85円 複勝回収値 95円 8枠の成績 2020年 勝率 7.1% 複勝率 22.8% 単勝回収値 107円 複勝回収値 57円 2021年 勝率 4.0% 複勝率 15.7% 単勝回収値 90円 複勝回収値 46円  ご覧の通り、1枠の成績は2021年のほうが明らかに良く、一方で8枠の成績は2020年のほうが明らかに良いです。  次に、同時期の枠による勝率を上位から順に並べてみます。 2020年 6→4→5→8→7→1→2→3枠 2021年 2→1→3→4→7→5→6→8枠  ご覧の通り、2020年の勝率は1~3枠がキレイに最下位3位までを占めており、逆に2021年は1~3枠がキレイに上位3位までを占めています。これをさらに枠順の影響を受けやすい15頭以上の多頭数のレースに絞ってみてみましょう。すると、驚異的な違いが出現します。  2020年と2021年の秋~年末までの中山芝で15頭立て以上のレースに限った8枠の馬の成績は以下の通り。 2020年(9-5-4-88)勝率 8.5% 複勝率 17.0% 単勝回収値 118円 複勝回収値 67円 2021年(2-4-4-89)勝率 2.0% 複勝率 6.1% 単勝回収値 5円 複勝回収値 24円  同じ季節の中山競馬場の芝コースでも、2021年の8枠の馬はほぼノーチャンス。逆に1枠の馬の全馬の単複を買ってもプラスになっており、まさに極端な有利不利傾向が枠によって出ていたことがわかります。

枠の視点でレースを見ることが大事

 このようなことを書くと、「結果論ではないか」と思われるかもしれませんが、ここでお伝えしたいことは、それだけ競馬というのは枠が影響を与える競技であるということです。枠という視点で見ると、どの馬が有利だったのか不利だったのかがわかり、実力以外の要素で負けた馬もわかるわけです。  またエフフォーリアの日本ダービーのように、不利な枠だった馬を次走以降に買うのは有効な作戦です。先日のAJCCは3連複8万円超、3連単72万円超の大波乱でしたが、上位3頭はいずれも前走中日新聞杯組。中日新聞杯は内枠の逃げ馬と内枠の2番手の馬で決着した、超イン有利レース。  今回AJCCを制したキングオブコージは、中日新聞杯で16番枠、2着マイネルファンロンは11番枠、3着ボッケリーニは10番枠といずれも不利な外枠でした。だから買えたとは言いませんが、前走の枠の有利不利を知ると、思わぬ穴馬も浮かび上がるようになります。  今の競馬は馬場管理の技術も上がっていますから、天気が良ければキレイな馬場が続くケースが多いです。そうなると内枠有利になりがちですが、一方で雨が降ると一気に馬場が悪化し、外枠有利になるケースも見られます。馬単位ではなく、レース単位で、内枠有利、外枠有利といった傾向を意識してみると、単純にどの馬が強いかといった見方とは異なる見解を持てるようになると思います。 文/TARO
競馬予想ブログとしては屈指の人気を誇る『TAROの競馬』を主宰する気鋭の競馬予想家。12月5日に最新刊『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)が発売になった。著書は他に『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(扶桑社)が発売中。
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