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“暗黒の20代”を過ごした俳優・佐藤二朗「52歳でも知らないことが山ほどある」

コメディもシリアスも、同じように差別なく一生懸命やるだけ

さがす

(C) 2022『さがす』製作委員会

――佐藤さんの俳優としてのスタンスも少しお聞きしたいのですが、ここ数年、司会をされたり、SNSで話題を集めたり、ジャンルレスに活躍されていますし、俳優業でもさまざまな役を演じていますが、一時は、コメディのイメージがついていたときもあったかと。 佐藤:今でもそうだと思いますよ。 ――でもここ最近だけでも『はるヲうるひと』やドラマ『ひきこもり先生』、そして本作もそうですが、まったく違う演技での印象も強くなっています。俳優に特定のイメージがつくことをどう感じますか? それを覆していくことを意識していますか? 佐藤:まず、イメージがつくということは、有難いことだと思ってます。要するに、知ってもらうことが大事なので。僕は、俳優というのは無限に可能性があると思ってるんです。たとえば『はるヲうるひと』の時も、主演してもらった山田孝之は、陰鬱なイメージもあるかもしれないけど、どちらかというと、『闇金ウシジマくん』とか『クローズZERO』とか、強いイメージがあると思います。その山田孝之に舞台で僕がやった弱っちい、ただ吠えてるどうしようもないチンピラをやってもらった。つまりイメージがついていることによって、真逆の役をやったときにカウンターにもなります。 要するに、みんなが期待している、持っているイメージも外さず、さらに面白いことをやるのも大事だし、いい意味でみんなを裏切る真逆のことをやるのも、両方大事だと思います。だから今後も今までのイメージ通りの役が来たときにも、真逆のシリアスなお話が来たときも、同じように差別なく一生懸命やるだけです。

誰にでもどこにでも起こりえる、でも起こってほしくない話

佐藤二朗――ありがとうございます。最後に本作を観ようと思っている読者にメッセージをお願いします。 佐藤:非常に重い作品で体力がいると思っている方が多いかもしれません。確かに重い作品ですけど、エンターテインメントとしても非常に質の高い作品です。先の読めない、誰も予想しない展開が待っています。そして誰にでもどこにでも起こりえる、でも起こってほしくない話です。おそらくいろんな人が共感できる映画だと思います。 <取材・文・撮影/望月ふみ>
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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【公開情報】
さがす』はテアトル新宿ほかにて全国公開中
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