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QOLの低い老後を送らないために。人生100年時代の今こそ考えるべきこと

なってからでは遅すぎる!認知症と骨折は予防が大切

金森:僕は寒冷刺激によるベージュ脂肪細胞の活性化が健康長寿に役立つと考えています。そのつながりで注目しているのが、コハク酸。氷河期で人類が絶滅しかけたとき、アフリカにあるピナクルポイント岬の洞窟で貝を食べて生き延びました。コハク酸がベージュ脂肪細胞を活性化して熱産生するという’18年の『ネイチャー』の論文があります。コハク酸摂取についての先生の意見を伺いたいです。
金森式

六本木駅すぐの四つ星・カンデオホテルズ最上階にある水風呂を堪能する金森氏。年中エアコンの効いた部屋で過ごす現代人には、あえて「寒冷負荷」を与えることによって発熱作用を持つベージュ脂肪細胞を活性化させることが大切だと説く

白澤:それは面白いですね。人類学的な分野はあまりわからないので、今度読んでみます。しかし、それが事実でも、実現可能性が低いこともあります。ただ、老化は多くの環境要因が関わるので、さまざまな分野にフォーカスしてバランスを取るのは大切です。 金森:肥満と同じで多因子性疾患ですね。では、先生の専門である認知症に関してはどうですか? 白澤:認知症の怖いところは、言葉を選ばずに言うと『死なない』ということ。そして本人だけでなく、家族にも負担がかかってしまう。認知症にならないことが一番の家族思いなのです。そのために、もっとも大切なのは予防です。 金森:認知症は早いうちから対策したほうがいい。 白澤:その通り。骨粗しょう症も同じです。大腿骨を骨折して寝たきりになってそのまま……というのは、もはやテンプレート。厚生労働省も病気になってからの治療法ばかり提示しますが、認知症になってから、骨が折れてからでは遅すぎる。特に骨粗しょう症は正しい食生活の積み重ねが大切です。ただサプリメントなど予防に関わる部分は保険が適用されず、自分でなんとかするしかない。
金森式

実は糖尿病は血管の病気で、動脈硬化などにより血管性認知症になりやすい。なかでもアルツハイマー病になるリスクは、正常な人と比べて糖尿病患者は2.1倍。また2060年までに認知症患者が20%増えるという予測も(このデータは福岡県久山町研究モデルに基づく)

人生100年時代の今こそ、健康長寿について考える

金森:骨を強くするにはカルシウムを摂るという偏ったプロパガンダも問題ですよね。骨はミネラルを貯蔵する臓器だから、マグネシウムとのバランスが重要なのに。 白澤:私のクリニックでは、最初に「100歳まで生きましょう」と宣言するのですが、みな一様に「あと5年くらい生きられればいい」なんて言うんです。でも、いざ5年たつと、あと5年、10年、と欲が出てどんどん延びてくる。元気でいられる限り長生きしたいと思うのが人間の性です。 金森:ただ、裏を返せば、現代人は認知症や寝たきりになってQOLの低い老後を送るリスクが高まっているとも考えられます。 白澤:人生100年時代と言われる今だからこそ、そうなってしまわないために健康長寿について考えなければなりません。しかし、おかしな学校給食や予防医療が保険適用外である問題、偏った情報の頒布など、国はむしろ「不健康長寿」を推進しているようにしか思えない。正しい情報を得て、正しく実践することが肝要です。  常識を疑うことこそ人生100年時代を生きる現代人にもっとも効果的な処方箋かもしれない。
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企業グループオーナー。作家。断糖高脂質食で30㎏以上の減量に成功。現在は健康長寿の人類学研究に勤しむ。著書『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速”脂”ダイエット』『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』。ツイッター@ShigekiKanamori

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