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騎手批判をする前に競馬ファンなら知っておくべき5つのこと

批判をするまえに気をつけたい5つのポイント

その1 不利は当たり前だと理解する  騎手に対する怒りがわく大きな理由の1つが「不利」です。前が詰まった、外に振られた、他の馬に接触した……などです。しかし、実は競馬に不利はつきものです。日本の競馬は最大18頭もの馬が一斉に走ります。陸上の短距離のようにセパレートコースを走るわけではありませんから、むしろ不利をまったく受けない馬の方が珍しいわけです。  例えば先週の弥生賞では、1番人気の支持を集めたドウデュースが4コーナーで行き場を失う不利を受け、結果的に最後は僅かに及ばず2着に敗れました。しかし、不利を受けたのはドウデュースだけではありません。ラーグルフは下がって来たドウデュースの影響で進路がなくなり何もできず、4着のジャスティンロックはスタート後接触し位置取りが後方に、3コーナー入口でも少し立ち上がる不利、インダストリアは4コーナーでジャスティンロックに触れて外に振られています。  不利の種類は様々ですが、たった11頭立てのレースですらこんな具合です。さらに加えれば、逃げる予定が逃げられなかった、出遅れた、距離ロスが大きかったなどを言い出したら、むしろスムーズに不利なく走れるほうが少ないわけです。いわば、 「競馬はいかに不利なく走れるかを競う競技」 でもあるのです。レースにおいて不利はつきものだと理解できると、不利を受けたことに怒ることがどれだけ視野が狭く恥ずかしいことか気づくはずです。 その2 騎手の立場を理解する  そもそも、騎手の立場を予想する側の我々が理解する必要があります。確かにレースにおいて騎手は、馬を操縦する重要な立場なのですが、そのバックには調教師やオーナーの姿があります。騎手自身が「逃げたい」と思っていても、事実上の決定権を持つオーナーサイドや陣営から別の指示があった、なんてことは日常茶飯事です。そして立場的に弱い若手騎手であれば、なおさら従わざるを得ないことも多々あるでしょう。  一見華やかなアスリートに見えますが、その立場は実は多くのビジネスパーソンと変わらず、組織の一員、それも序列として騎手は下の方である一面もあるのです。  我々はついついレースとしてわかりやすく見える舞台だけで評価してしまいますが、そういった背景を想像すれば騎手ばかりに怒りの矛先を向けることが、あまりにも理不尽なことなのだ、とわかるはずです。

騎乗が読めないのは予想する側の責任

その3 我々の立場は予想をすること  大前提として、騎手がどう乗るかを決める決定権は我々にはありません。馬券を買うファンはあくまでもそれを予想する立場です。  例えば無理に内を突いたりせず、後方から外を回すといった安全策を選択したとして、それ自体をどうこう言われる筋合いはないのです。万が一、それで成績が落ちてゆくようになった場合、結果として騎手自身が代償を支払います。騎乗依頼が来なくなったりするのも自己責任です。またベテラン騎手を想像すれば、家族の立場ならば危険な騎乗を避けてほしいと思う、というのも無理はありません。  ですが私たち競馬ファンの多くは騎手の家族でも恋人でもないのですから、どう乗るかも含めて予想の範囲になります。コメントや陣営の思惑、過去の戦績などから、どう騎乗するのかを想像する……それこそがむしろ予想側の見せ場なわけです。  それでも騎手に思い通りに乗ってほしいのであれば、お金を稼いで馬主になって指示を出すしかありません。 その4 上手いか下手かは重要ではないと理解する  騎手に怒りをぶつける人にありがちなのは、騎手が上手く乗ってくれると勝手に期待していることです。普段はあまり上手いと思っていない騎手なのに本命を打ったからと勝手に好騎乗を期待して馬券を購入し、 「やっぱりこいつは買えん!」 と怒りをあらわにするシーンを見ます。冷静に考えれば「摩訶不思議な行動」としか思えません。美味しくないと知っているラーメン屋に何度も足を運び、そのたびに文句を言って帰って来るようなもの。誰一人幸せにならない行為です。  必要なのは発想の転換です。もし下手な騎手がいたら、それはありがたい。だって毎回下手なのですから、その騎手が騎乗している馬を軽視すればいいわけです。もし人気馬に乗っていれば、他の馬を美味しい配当で買えるチャンスかもしれません。自分が購入した時だけ上手く乗ってくれるなどというのは、予想ではなくただの願望です。
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怒る前に知る努力を
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