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政府は中小企業に“罰ゲーム”を科した。助成金の無利子融資は金利ゼロではない

救済措置はまったくなし? いきあたりばったりな政府救済策

コロナ対策・アクリル板・飛沫感染対策・飲食店

写真はイメージです

ところが、返済が始まるこのタイミングでオミクロン騒動ですよ。飲食店などは営業時間の短縮など酷い目に遭ってしまいました。また、感染力が強いので、濃厚接触者になってしまう人が幾何級数的に増加しました。みんなが仕事を休んでしまうので、会社の仕事が回りません。本当に大変です。 この点について救済措置などは現時点でははっきり決まっていません。これなら2年前に廃業しておけばよかったと思う経営者も出てくるかもしれませんね。政府の救済策というのは大概こういうものです。補助金や助成金の類も、無利子融資も基本的には一緒。商売とは異なるロジックで構成されていて、一度手を出すとやめられなくなってしまうんです。補助金は麻薬。本当にシャレになりません。

危機感のない税務署は緊急時も平時対応

非常時に政府がいかにアテにならないかについて、私の個人的な体験をお話ししておきます。2020年の新型コロナのパンデミックで世の中が大騒ぎになっていても、税務署は平時と変わらぬ税の徴収業務をやっていました。 みなさんは悪名高き中間納税という制度をご存じでしょうか? 法人税と消費税について、前年度に納税した金額の半額を翌年前納するという制度です。政府が税金の前払いを義務化して、実際に徴収するわけです。 もちろん、これはあくまでも前年並みの利益が今年も上がるという前提での前払いになります。実際に決算を〆てみて赤字になってしまったら、中間納税した法人税は全額還付されます。 2020年以降、パンデミックに伴う非常事態宣言はたびたび発出されました。普通に考えれば、多くの企業の売上、利益はマイナスですよね? ところが、税務署は2019年の業績に依拠して中間納税をシレっと徴収していたんです。これはおかしい!! 私はSNSや出演する番組などを通じて騒ぎまくりました。 別に税金を払わないということではないんです。決算が出て、払う必要のあるものは払います。でも、今の状況を考えれば中間納税なんてできる余裕のある会社のほうが少ないはず。ところが、緊急時に平時対応する税務署に危機感はまったくありませんでした。
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官僚機構はとにかく非常時に弱い!
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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