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政府は中小企業に“罰ゲーム”を科した。助成金の無利子融資は金利ゼロではない

官僚機構はとにかく非常時に弱い!

財務省,財務省本庁舎,官庁,霞ヶ関,Ministry of Finance,私は知り合いの国会議員を通じて、この件を衆議院予算委員会などで質問してもらいました。その結果かどうかは分かりませんが、この件は大きな注目を集めました。そして、最終的に安倍総理(当時)は、中間納税の猶予措置はもちろん、猶予する際に延滞税ナシという英断をしました。よっしゃー!と思ったのもつかの間、思わぬ伏兵が現れます。 なんと、都税の中間納税について都税事務所に問い合わせたところ、それは国税だけの話で、都税は別って言われてしまったんです。そんなバカな? 財務省からのお知らせには「地方税や社会保険料についても同様の特例が設けられます」と書いてあります。しかし、都税事務所の役人はこれを全然フォローしてなかったようです。現場が相当混乱していたのは分かりますが、企業にとっては死活問題ですよ。もっと緊張感を持って仕事しろよって思いました。とにかく官僚機構というのは非常時に弱いです。何でも平時の延長でしか考えない。まぁ、安定志向の人が公務員になるわけですから、当然なのかもしれませんけど。

民主主義は時間的コストがかかるシステム

政治リーダーは国民の怒りを抑えるためにリップサービスをします。ところが、具体的な中身はあまり決まっていません。現場の職員は言われた通りにやることはできても、何も決まっていないことには対応できない。 そんな時、今回のような事件が起こります。そして、似たような事件がたくさん重なって、それが国民の怒りに火をつけます。政治リーダーは慌てて官僚機構のトップを呼びつけて「お前何やってんだ!」と怒鳴り散らします。そこまでやって初めて物事は前に進む。民主主義って時間的コストがかかるシステムなのです。もうこれは民主主義の宿命とでも言っていいかもしれません。だからこそアテにならない。 ここに「財務省の呪い」、すなわち「Zの呪い」が垣間見えるのは気のせいでしょうか? 少し景気が良くなるとすぐに引き締め、増税に走るくせに、緊急事態で国民が税金の減免や猶予を求めてもなかなか動かない。国会答弁で総理大臣がコミットしたことであっても、平時の手続きにこだわり、現場では平気で知らぬ存ぜぬを通してしまうわけです。まさにこの国の隅々にまでZの呪いが浸透している。
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1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

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