更新日:2022年05月04日 13:55
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石木ダム建設予定地を訪問した長崎県知事。“ほたるの川”は守られるのか!?

選挙期間中は多くを語らなかった大石知事

石木ダム予定地の行政代執行(強制撤去)に踏み切らなかった中村法道知事(当時)

石木ダム予定地の行政代執行(強制撤去)に踏み切らなかった中村法道知事(当時)

 県知事を3期12年(1998年~2010年)務めた金子参院議員と、谷川建設創業者の谷川衆院議員(長崎3区)のKTコンビを「長崎政界の中心人物」と評したのは、2月3日の『現代ビジネス』。この記事の中でも大石氏当選なら「二人(KTコンビ)の傀儡県政になる」という声を紹介していたのだ。  県知事選では「39歳医師」「世代交代」と訴えていた大石氏だが、「一皮剥くと、公共事業を強行する土建政治志向」という見方もあったのだ。この真偽を確かめるべく、筆者は大石氏への直撃取材を繰り返した。  維新幹部の鈴木宗男副代表と藤田文武幹事長、足立康史政調会長が応援に駆けつけた長崎市中心街での街宣後、「石木ダムについて一言。知事になったらどうするのか」と聞くと、大石氏は「今まで訴えた通りに、しっかりと対話を軸に頑張って参ります」と回答。そこで「強制執行をするのか」とも聞くと、「強制執行ありきの話ではないので」と答えた。さらに「応援している金子・谷川さんは『強制執行するべき』と言っていないのですか」とも聞いてみたが、大石氏は「移動します」と言って質疑応答は打ち切られた。

選挙演説中の大石氏は、筆者の直撃にこう答えていた

石木ダム立て看板 そこで、マイク収めを終えた大石氏を再び直撃して質問を続けた。 横田:石木ダム、「対話をする」と言いましたが、住民が納得、合意しないと強制執行はしないという立場なのですか。 大石候補(当時):まずはしっかりと対話するというところです。まず対話をやっていかないと、その先は言えませんので。そこですね。 横田:(反対住民の)合意、理解、納得なしには強制代執行はしないと。 大石:まずは対話をすると、そこがスタートです。 横田:対話を打ち切って代執行をする可能性があるのではないですか。 大石:仮定の話はできませんので、まずは対話を求めると。 横田:金子・谷川コンビの“ダミー候補”という指摘もありますが。 大石:そこは、私は承知をしていないので。 横田:金子・谷川コンビが、中村知事が強制代執行をなかなかしないので、大石さんを担ぎ出したと(いう情報も流れていました)。 大石:それはまったく知りません。

大石知事は、パフォーマンスで終わらせるのか、見直すのか

大石氏を支援する谷川弥一衆院議員の囲み取材中だった筆者を、力ずくで引きはがした大石陣営の選挙プランナー・大濱崎卓真氏

大石陣営の選挙プランナー・大濱崎卓真氏。大石氏を支援する谷川弥一衆院議員の囲み取材中だった筆者を、力ずくで引きはがした

 こうした直撃を繰り返したためか、大石陣営の選挙プランナーの大濱崎卓真氏は、筆者に翌日(投開票日)の「取材不可」を告げてきた。この就任初会見で石木ダムについて聞くことができなかったため、「KTコンビの意向に沿って大石知事は、石木ダム予定地の住民と形だけの対話をした後、行政代執行(家屋の強制撤去)に踏み切るのではないか」という疑念は消え去らなかった。  だからこそ、4月20日に石木ダム予定地を再訪した大石知事に再直撃、同じ質問をぶつけたのだ。しかし前述のように、具体的な回答は返ってこなかった。「反対派住民に好印象を与えるパフォーマンスをしばらく続けた後、石木ダム強行に踏み切る」という可能性は依然として残っている。 「住民の話を一応は聞いた」というパフォーマンスで終わるのか、あるいは「住民の話を聞いてダム建設を見直す」のか。今後も大石知事から目が離せない。 文・写真/横田一
ジャーナリスト。『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』

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