更新日:2022年07月11日 16:46
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安倍元首相銃撃事件で危惧される「改造銃マーケット」の実態

3Dプリンターで拳銃が作れるように

3Dプリンター銃

3Dプリンターによる拳銃のデータイメージ
写真提供/板倉正道

 2010年代に入り、遊戯銃の改造の代わりに台頭して来たのが3Dプリンターを使ったDIY拳銃だ。  2014年には動画配信サイトをつかい、自宅で3Dプリンタを使った殺傷能力のある拳銃の作り方を公開した男性が銃刀法違反により逮捕されている。この事件は日本初の3Dプリンター拳銃摘発事件として今後の3Dプリンターの扱い方を危惧する事件ともなった。  海外では3Dプリンター銃の設計図が公開、販売されており、日本からも多数のアクセスがあったことが当時のニュースからは伺える。大多数の人は、興味本位でのアクセスやダウンロードだったと思われるが、一体どれだけの情報が反社会的勢力の手に渡ったかは未知数である。  現在では金属造形が可能な3Dプリンターも登場しており、3Dプリンターと設計データがあれば誰もが実弾を発射する事が可能な銃を作れると懸念されている。

海外の動画も規制しなければならない

 2010年代後半から現在では、スマホの発展、所持人口の増加に伴い、Youtubeなどの動画配信サイトが人気を集め、今まではアングラサイトやマニアなど専門知識が無いと判らなかった情報を簡単に視聴することが可能となっている。How To動画なども登場してきており、知識がなくても動画を見ながら同じ手順を踏むだけで改造拳銃が作れるというわけだ。  日本人が日本国内からHowTo動画を公開しようものなら銃刀法違反に引っかかるのは、先の国内初の3Dプリンター拳銃逮捕事件からもわかる。しかし動画配信は日本の法律が及ばない地域からも公開されており、インターネット上の自動翻訳などを使えば誰もが世界中の言語を日本語で見ることができてしまう。  DIY拳銃自体の精度はともかくとして、3Dプリンタや手作りDIY拳銃などホームセンターなど身近な店舗で購入できる部品を使い誰もが銃を作れてしまう世の中。今回の事件を機に日本国内での大幅規制が行われると思われるが、海外から配信される動画サイトなどには手を出せないだろう。  銃剣はアートとしての扱いをされることもある。ガンマニア程では無いにしろ、銃剣類が好きな人もいることだろうが、願わくばこれ以上国内でDIY銃による殺傷事件が起きないことを祈るしかないだろう。 文/板倉正道
テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク
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