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「猛暑×コロナで地獄」医療従事者が語る“第7波”の壮絶現場

激しい咽頭痛と40度近い高熱に注意

ナイトドクターB

写真の薬は「ラゲブリオ」。新型コロナウイルスの増殖を阻害する、抗ウイルス作用のあるもので、予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデルにおいて活性が認められていることから、処方することが多いそうだ

 第7波は、オミクロン株の変異種のひとつで感染力が強いとされる「ba.5」が主流を占めているとされているが、これまでの波と症状などに違いはあるのだろうか。菊地氏は語る。 「まず感染力ですが、訪問要請の電話が毎日倍々ゲームで増えている状況を見ると、明らかに強いと考えられます。患者さんの症状で顕著なのは、激しい咽頭痛と40度近い高熱です。第6波でも咽頭痛を訴える患者さんは多かったのですが、数も症状の重さも今回のほうが上回っている印象を受けています。  咽頭痛の患者さんの多くが『今までに経験したことのないような激しい痛み』だと訴えており、食事や水の摂取もままならなくなる人も多い。こうなると、さらに体力を落として、回復が遅れるケースも。咽頭痛で口から水分が取れず、脱水症状となり、命にかかわるような状態になっていた患者さんもいました。注意が必要です」

コロナと熱中症の併発が増加する可能性も

 今回の第7波には、もうひとつ大きな問題があるという。 「猛暑の夏に流行がはじまったという点です。こうなると、コロナと熱中症を併発するケースも多く、それが引き金となって重症化していく患者さんが今後増えていくと危惧しています。とくに今回は咽頭痛を訴える患者さんが多く、水分を取りにくい状態になるため、熱中症になりやすい。咽頭痛があっても、患者さんには無理やりにでも水分と塩分を取るようにしてほしいと思います」  真夏のコロナ禍は、患者だけでなく、医療従事者への負担も大きくなる。暑さとの戦いである。 「ドクターも看護師も、患者さん宅では防護服での診療となるので、非常に暑く、体力の消耗が激しい」  一般病院などの通常の医療現場を陰で支えている訪問診療のスタッフたち。彼らが倒れてしまったら、医療崩壊も現実のものとなってしまうだろう。それでも菊地氏はこう言う。 「我々にとっては地獄の夏になりそうですが、実はそれほど悲観的にはなっていません。というのも、第1波から第6波まで経験した我々には、すでに多くの知見とノウハウがあります。これまで通り、淡々と日々の診療をこなしていくだけですよ」  終わりの見えないコロナ禍は、いつまで続くのだろうか。 取材・文/根本直樹
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