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犬を飼って3日で「なんか違った」と飼育放棄…犬猫の保護活動でみた人間の“歪んだ常識”

犬が認知症になったときの症状

保護犬問題

一階の犬スペースには、認知症になって保護されたワンちゃんが3匹いました。この3匹のワンちゃんが、不思議といつも一緒に行動しているそうです

 猫ルームの見学を終えて案内していただいたのは、一階の犬スペース。ここにはシニアのワンちゃんが多く、なかには認知症になってしまったワンちゃんもいました。  犬にも認知症があるということを知らない方も多いのではないでしょうか。私も犬を飼うまでは知りませんでした。認知症になってしまったワンちゃんは、一体どういった症状が出るのかを佐々木さんに伺いました。 「認知症になると夜中も吠えるようになります。うちには3匹いるんですけど、みんな『夜中吠えるようになって近所迷惑になってしまう』という理由で保護を依頼されました。夜中吠えると近所迷惑だけでなく、飼っている自分が滅入ってしまうのもありますよね。  ただ、ここに来ると不思議と吠えなくなるんです。だからやっぱり環境なんでしょうね。一般家庭で吠えると飼い主が怒ったり閉じ込めたりするから、犬も余計に吠えてしまうのでしょう」

さまざまなリスクを考慮して飼い始めるべき

 たしかに急に夜中吠えるようになったら、一般家庭で飼うことは難しくなります。ただ「そういったリスクもあるということをわかった上で飼わなくてはいけないんです」と佐々木さんは主張しました。 「保護を依頼してくる人のなかには『なんか違った』という理由で、飼い始めてから3日で飼育放棄するとんでもない人もいますが、『認知症になって近所迷惑になるようになったから飼えなくなった』というのも酷い人には変わりないです。認知症になろうが『家族』には変わりないので。私は犬が認知症になったことで引っ越した人も知っています。飼う人は意地でも飼い続けますから。  犬や猫を見て『一目惚れしたから飼いたい』という人が多いですが、自分の環境が変わる可能性や、犬猫が病気になるリスクなどをしっかり考慮したうえで飼い始めなくてはいけないのです
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犬猫を飼う人の常識を変えなくてはいけない
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元女子競輪選手。2021年の「ガールズケイリングランプリ」で優勝し、年間賞金女王の称号を手にする。2022年5月に競輪選手を引退。その後は保護犬・保護猫活動に取り組み、自身がメインとなるトークイベントやnoteなどのSNSで活動の発信を行なっている。Twitter:@g_mkb
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