愛を持った人間でないとペットは飼えない
梅沢さんは「NPO法人 みなしご救援隊 犬猫譲渡センター」のワンちゃんを預かりボランティアとして受け入れているそうです。その団体さんから聞いた悲惨な話、そして動物に対する“愛”と人間に対する“愛”は同じだということを語ってくださいました。
「3日や4日でペットを放棄する人がいるようで、そういうことする人たちが本当に信じられない。保護活動をされている方から聞いたのは『団体に持ってくる人はまだ良い方だ』と。玄関に置いて行ったりするんですって。
そういう人は本質的に生き物が好きなんじゃないと思う。偏見かもしれないけど、そういう人は良い恋愛できないでしょう。人間に対してだって同じことです。好きな人に対して例え汚い一面が見えた時でも、相手を傷つけずに愛を持って掃除をしてあげる。そういう心を持った人がワンちゃん猫ちゃんも可愛がることができるんだと思います。
だから
『動物を飼える心を持っていない人には飼わせない』という世の中にならないと、なんともならないですね。ただ、ありがたいことに保護活動をやっている人も増えているので、それによって社会全体的に動物を飼うことに対する意識が高まっていくと僕は信じています」
私は飼育放棄する人の気持ちが全く理解できませんでしたが、梅沢さんの「そういう人は本質的に生き物が好きじゃない」という言葉を聞き、保護問題の根幹に触れたように感じました。では、どうしたら飼育放棄はなくなるのでしょうか。最後にそのことについてのお話を伺いました。
「ペットを売らなければいいじゃないかという人もいると思いますが、それはなくならないですよね。犬猫のブームになったら、ペットショップの業界はどんどん繁殖させるでしょう。そこをなんとかしないと……。でもその人たちからしたら大きなお世話。向こうは商売で、需要があるから繁殖させて売っている。
だから“飼う側”の意識を変えないといけません。
だから今から飼う側になろうとしている人に強く言いたいのは
『もう一回考えてみて』ということ。可愛いからって『これが欲しい』ってなるもんじゃない。生き物を飼うってことは、毎日お世話しないといけない。汚くて嫌になることや、散歩が面倒になることもあるかもしれませんが、
そういったことを越えられるくらいの愛を持って接してあげられるかを、最後にもう一度考えてみてほしいです」
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私が今回のインタビューを通じて印象的だったのは「人の心を思いやれない人は動物の心を思いやれるわけがない」という言葉です。今までも保護問題について、さまざまな方の話を聞いてきましたが、ペットを飼うこととかの以前に「飼う側の人間性に課題があった」ということにハッとさせられました。飼う側となろうとしている人の意識を少しでも高めることも考え、今後も発信していきたいと思います。
取材・文/高木真備
取材・写真/セールス森田
元女子競輪選手。2021年の「ガールズケイリングランプリ」で優勝し、年間賞金女王の称号を手にする。2022年5月に競輪選手を引退。その後は保護犬・保護猫活動に取り組み、自身がメインとなるトークイベントやnoteなどのSNSで活動の発信を行なっている。Twitter:
@g_mkb