更新日:2022年09月21日 10:08
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ソーダストリーム、日本上陸から5年は「価値を伝える」ことを徹底した。日本市場の展望

日本上陸から5年は「価値を伝える」ことを徹底した

 他方、日本上陸から5年くらいの間は、ソーダストリームの販路決定は特に慎重だった。 「実店舗を持たないネットのみでの販売」や「量販店での季節限定販売」はもちろん、「ディスカウント価格で販売したい」などの要望は、価値訴求を軸とする販売計画に合意が取れるまで何度も商談を重ね、店頭に置いてとりあえず売れ行きを見るというような販売方法は避けてきたという。 「値引や季節性の強い販促が論点になってしまうと、ソーダストリームの価値が失われてしまう。なので、消費者のライフスタイルを豊かにする具体的な価値を伝えることを最優先し、(衝動買いを誘発するような)値引施策などには徹底して合意しない意思を持つことは、日本チームにとっても日本市場での長期展開を見据える上で、とても大切な共通の価値観でした」  また、ソーダストリームのブランドの世界観に合わない切り口での取材は全く受けないスタンスを貫いたそうだ。  こうした徹底ぶりは「ソーダストリームの確固たる芯はぶらさず、ブランドの魅力が根付くまでは必要不可欠だった」と平野さんは振り返る。 「炭酸水に対しての認知度が上がり、ソーダストリームがマスメディアへ露出されることで興味を持つお客様が増え始めたタイミングで、今度は買いやすさが求められてくる。そこで初めて、家電量販店やスーパー、ドラッグストアなどに販路を拡大することで、購買需要に応えることができる。このような段階を踏んでソーダストリームの販促活動を行ったことで、今では多くのお客様に愛用いただけるまでに成長しました」

コロナ禍のステイホームで炭酸水への関心が高まった

 2020年から続くコロナ禍では、どのような消費者志向の変化が見られたのか。  平野さんは「主だった変化はないものの、コロナ禍でおうち時間が増加したことで、自宅で炭酸水を作るニーズが顕在化し、新たにソーダストリームを購入するお客様が増えた」と直近の動向を分析する。 「以前からソーダストリームに興味を持っていたものの、なかなか購買する機会に恵まれなかった20~30代のお客様が、コロナ禍で旅行に行きづらくなり、代わりに在宅飲みやおうち時間の充実にお金を充てるようになりました。こうした背景のほか、臨時特別給付金の支給によってソーダストリームの購買が活性化されたように感じています。また、コロナ禍で運動不足になり、甘いものを控えるなどの健康需要が相まって、50〜60代のお客様も販売が伸長しているような状況です」  また、炭酸水が500mlあたり約18円という経済的メリットや重いペットボトルを持ち歩かなくていいという利便性に加え、昨今のSDGsや環境問題への関心の高まりから、「ペットボトルが溜まっていくことへの罪悪感」を抱く人も増え、ソーダストリームの購買ニーズも高まっているそうだ。
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炭酸水を使った意外なレシピ
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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