お金

ベルク、若者が“遊びに行ける”スーパーに。「シェアしたくなる」集客戦略の秘密

若者が「遊びに来る」施策

 最初に行ったのは、「ベルクで購入した3,000円分以上のレシートをスマホで撮影し応募すると8名に“霊視体験”が当たる」というもの。YouTube登録者数20万人以上の霊視芸人・シークエンスはやともさんが直接自分の霊を視てくれるという珍しいチャンスに応募が殺到し、当選者の満足度も非常に高い結果となった。  さらに、2021年2月に行ったのは「マルサンアイ商品を含む3,000円以上のレシートで応募すると“SKE48がバレンタインデーなのにおみそ汁を振る舞います”というイベントに招待される」というもの。こちらも普段であればスーパーで味噌を買うことのないSKE48ファンがマルサンアイ商品を大量に購入し、なんと例年の半年分の商品が応募期間中に売れたというから驚きだ。  2021年のクリスマスの時期にはTVアニメ「呪術廻戦」などで人気の声優・内田雄馬さんがベルク専属ソムリエ「大田崎慎也」というキャラに扮した店内放送を流して話題となった。しかし、 アニメ・声優ファンに圧倒的な人気を誇る内田雄馬さんも、普段アニメを見ない人たちの間での知名度は決して高いとはいえない。  それでも原島氏は効果を確信してGOを出したのだろうか?

「(決定権のある)おじさんが知らないから」という理由で新しい企画を切り捨てない

日清焼そばU.F.O.

「日清焼そばU.F.O.」の販促では本社敷地内に巨大な「U.F.O.」を墜落(!?)させて話題に

「若者向けの取り組みをするにあたって、まずはやってみようというスタンスがありました。シークエンスはやともさんも当時テレビなどで話題になっているとは聞いていましたが、実際イベントとして集客ができるのかはわかりませんでした。うちの妻も占いとか好きだから霊視も人気なのかな……くらい。  だけど、ベルクの風土として、『よくわからないからやらない』『まずはデータを出せ』と切り捨てず、むしろおじさんの我々が知らないことだからこそ、リーチできない顧客層にアプローチできるのでは、と考えます」  多くの企業では「面白い企画を思いついた!」と若手世代が企画提案をしても、部長・社長が「若い人の間で流行っている?俺は知らないぞ」と却下したり、あるいは「他社の事例を出せ」と意思決定までに慎重になりすぎてしまうことが多い。その結果、たとえばスーパーなら「みりんを使った料理教室」や「抽選で〇名様に商品をプレゼント」といったありきたりな販促ばかりになってしまう。 「面白く、馬鹿馬鹿しいことを若者は共有したがるもの。『ベルクでなんか面白いことやってるよ』と思わずシェアしたくなるような内容かどうかを重視しています」
次のページ
「ベルクに来ると楽しいことがある」と思わせたい
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ