更新日:2022年12月09日 23:07
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パチンコ業界最大のタブー「くぎ曲げ」問題。立て続けに逮捕者が出た裏事情

規則ではくぎをどう扱っているのか

パチンコ

こちらが「くぎ確認シート」。このシートを元に、くぎを「メンテナンス」することは可能

 そもそも規則において、くぎは「概ね垂直」という曖昧な表現しかありません。だから見た目で明らかに曲がっているものは一発アウトだとしても、微妙な角度ではどこまでが概ねなのか判断がつきかねるもの。新台導入時には行政による検査が行われますが、遊技台の製造番号をチェックして終わりということがほとんどです。  でも一部の担当官は角度を計る器具を持参して厳密にチェックすることもあり、そんな担当官がいる地域ではあっという間にホールの間で情報が共有され、通常は閉店後の納品直後に行うくぎ調整を開店前の検査後にするなんて話もあります。

パチンコメーカーが作る「くぎ確認シート」とは

 そのような検査官にとって、もっと明確で利便性の高いツールになっているのが「くぎ確認シート」でしょう。これは旧規則機(CR機)時代の後半、2010年代半ばから型式試験時と営業時で遊技機の性能が異なるとして、メーカー側によるくぎ曲げが問題となったタイミングから導入されたもの。ざっくり言うと型式試験は大当り出玉の割合が少なくなるようなくぎに調整し、実際の営業時にはその逆の性能になるようにしたものですが、大々的な遊技機の撤去など業界的には大騒動となりました。  それまでは新台が納品、設置されたらメーカーや販売会社の担当者が営業くぎに打ちかえるのが慣例でしたが、そういった作業もこれをきっかけにぱったりとなくなり、同時に本来の性能を担保したくぎの状態を確認できるようなシートも付属されることに。担当官がこのシートを盤面の該当部分に当てたとして、ちょっとでもずれていたら即アウトになるだけに、ホール側も日々のメンテナンスでは慎重に扱っていることと思います。  ただ多くの店長は「シートの範囲内でも十分に出玉の管理はできる」と話していますから、くぎ確認シートの存在はメンテナンスと称した「くぎ曲げ≒くぎ調整」の、どこまでが適法でどこからが違法になるのかのガイドラインになったとも言えるでしょう。
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なぜ行政は今回のくぎ曲げを問題視したのか?
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ライターとして25年のキャリアを持つパチンコ大好きライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞、一般誌など幅広い分野で活躍する。

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