更新日:2022年12月09日 11:27
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自粛要請中に営業を続けた飲食店店主の“誤算”「みんな理解してくれると思っていたのに」――2022年トップ10

店で飲んでいた客からは「どう責任を取るのか?」

怒り「何人かの客から、実は俺も調子が悪いと返信があり、その翌日にはそのうち数名から“コロナに感染した”と連絡があったんですわ。ごめんね、で済むと思っていたら、全員が“どう責任を取るのか?”と言ってきてね。いや、びっくりですよ。こうなることも覚悟して飲んでいたんでしょう? そう言いたかったけどね……」  現時点で、店の客で感染が判明したのは4人。保健所にもしっかり説明したが、クラスター(集団感染)認定はされなかったという。感染した客は、症状が軽いのだったら医療機関は受診せず、自宅で安静にしろと指導された。そして、不安になった客の不満は、野口さんに向けられたのだ。 「クラスターなのに発表されていないのは俺が隠しているから、なんて言う客までいました。ふざけるなと思いましたが、そもそも感染源が俺なのか? という疑問もある。でも、やっぱり謝るしかない。身から出た錆とはいえ、結局みんな感染するとこうなっちゃうんだなと」

感染後の想像が足りなかった

 野口さんは、今になって思うことがある。それは、感染した人にしかわからないツラさを、感染したことがない自分たちがまったく想像していなかった、ということである。 「感染して初めて、自分は一人じゃなかった、自分の言動には大きな責任が伴うって痛感しました。私が家にいると、子どもにうつってしまう可能性がある。そうなれば、学校に行けなくなるばかりか、学級閉鎖や休校になる。  感染した客のなかには、糖尿病で高齢の母親と二人暮らしという人がいたようです。母親にもうつしちゃって、コロナの症状は出ていないけど、糖尿が悪化したとかで、電話で何時間も恨み節をぶつけられた。お前らも承知のうえで飲みに来ていたんじゃないかと頭にきたけど、こうなると反論の余地なんかないわけ」
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新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。

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