30代、厚みを感じさせる役者になる
──吉岡さんは、30代の10年間、これからの10年間で、世の中に自分のどんな面を見せていきたいと思っていますか。
吉岡:年齢がうつろいでいくときに、その年齢の“素敵さ”を体現できる人になりたいと思っています。ちょっと抽象的ですが、しなやかさや包容力。あとは、強さとか。やっぱり、人間って一面的ではなくて、一言では言い表せない生き物だと思います。なので、役をいただいたときのアプローチも、層を感じるというか、厚みを感じるというか、そんな深みが出ていくような役者になりたいなって。ずっと思っているんですけどね。
──では、いまの吉岡さんが、「これが自分の唯一無二なところだ」と思えるものはありますか。
吉岡:仕事の内容が多面的なことです。色んなジャンルをまたいで仕事をしてきたことは、いまこの年齢になって、キャリアが重なってきたからこそ、自分の強みになっているなと思います。
──ラジオも、1冊の本(『LIFESTYLE COLLEGE 吉岡里帆と日曜日18時。』リットーミュージック)ができるくらい、長く続けていますもんね。
吉岡:最初はラジオの仕事も不安いっぱいでした。全部の仕事がそうで、最初は不安からはじまるんです。だけど、その不安を乗り越えて、「絶対良いものにしよう」と決めて取り組んできたことだから、10年の月日が経ってはじめて「ああ、力になっている」とか「仲間が増えている」と実感できるようになりました。
──最初から「多面的になろう」と思っていたというよりは、やってきたことが積み重なってそうなった。
吉岡:そうですね。でも、意識的に色んな仕事をしたほうが、結局お芝居にも活きてくるだろうとどこかで思っていた節はあります。色んな仕事をして、その仕事に携わる人たちと出会って、話して、考え方を知りたい。それも私の財産だから、これからもそうやって仕事をしていきたいです。
──吉岡さんが今後「こんな風に唯一無二になりたい」と思う未来像は。
吉岡:役者業って、台本がないとはじまらない。私はゼロから1をつくれるタイプじゃないので、演出やアイデアに全力で応えて、1から10にできる人になりたいです。私にオファーしてくださる方が、「吉岡里帆ならやってくれる」と信頼してくれたり、「もう一段上のステップに、より面白く表現してくれるんじゃないか」とワクワク感を覚えてもらえたりする人を目指しています。
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、川井隼人
脚本:大江崇允
プロデューサー:山本晃久、岩倉達哉
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、吉原光夫、六角精児、酒向芳、矢柴俊博、河井⻘葉、赤堀雅秋、二階堂智、小木茂光、利重剛、中村梅雀、倍賞美津子
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