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吉岡里帆が語る「社会の問題をエンタメという形で伝える意義」とは

生活保護のケースワーカーやDV被害者など、社会問題を題材とした作品や役柄へ意欲的に挑戦してきた俳優の吉岡里帆。現在公開中の映画『ハケンアニメ!』ではアニメ監督を演じ、手がけた作品が見る人に「届いた」と実感するシーンを熱演。俳優として、同じことを感じた経験を持つという。 小劇場の舞台俳優や、学生主催の自主制作映画などからスタートした吉岡のキャリア。話題作に立て続けに出演し、7月には初の舞台主演を務めるなど、現在の活躍にいたるまでに舞台や映画、ドラマへの出演に留まらず、グラビアやバラエティ番組など様々な経験をしてきている。 「やりたい仕事」と「やるべき仕事」との差を、これまでどのようにして近づけてきたのか。また、難しい役柄にチャレンジする理由についても話を聞いた。 DMA-RY_049

社会問題をエンタメで伝えることに意義がある

──俳優という仕事は、視聴者の反応が直接届くことが少ないと思います。吉岡さんがドラマや映画に出演して、見る人に「伝わった」と実感する瞬間はありますか。 吉岡 自分の仕事が上手く伝わったか、不安に思うことは多いです。でも、『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系/2018年放送)というドラマで、生活保護のケースワーカーの役を演じたとき、何年か経ってから偶然に出会った人に「あのドラマがケースワーカーになるきっかけになりました」と言ってもらえたことがあったんです。 ──それは嬉しいですね。 吉岡 それから、DVを受ける女性が主人公の『きみが心に棲みついた』(TBS系/2018放送年)で主演だったときには「自分だけじゃないんだ」とか「それでも頑張ろうと立ち上がる気持ちになれた」と、これも偶然出会った人に言ってもらえる機会がありました。そういうときには、ああ、自分が思っている以上にしっかりと人に届いているのだ、と感じます。 ──ケースワーカーやDV被害者、最近では『しずかちゃんとパパ』(NHK BSプレミアム/2022年放送)でのろう者の父を持つ娘と、難しい役柄が多いです。チャレンジングな役を演じているぶん、いい反響を得るハードルも高いのではないでしょうか。 吉岡 だからこそ、余計にハードルの高いものに挑戦していこうと、改めて思えます。

乗り越えていく「方法」を見せていける作品に惹かれる

DMA-RY_041──その社会的な問題意識の高さは、どこから来ているのでしょう。日本のエンタメは、社会的な部分を切り離してエンタメに振り切る作品もまだまだ多いと思うのですが。 吉岡 意識が高いと言われると恥ずかしいです(笑)。単純にオファーをいただく機会が多いということもあります。それと、アメリカの俳優のステラ・アドラーの本を読んだときに、彼女は「役者ができる仕事は2つある」と言っていて。それは「人を楽しませることと、歴史を伝えることだ」と。  その時代その時代の社会の問題を、エンタメという取り入れやすい形で伝えることは、とても意義があると思ったんです。無力な自分でも、なにかを担えるかも知れないって。なので、難しい題材や役柄のオファーをいただいたときには、自分がチャレンジできる内容だったり意味があるメッセージが込められていると思ったりしたら、できる限りやろうと思っています。 ──今、吉岡さんが興味を持っている「難しい題材・役柄」はありますか。 吉岡 私は、今、NHKのドラマ『しずかちゃんとパパ』で耳の聞こえない父親をサポートして暮らす子どもの役をしているのですが、「ハンディを家族で乗り越える」という話には昔から興味があります。ただつらいだけではなく、それをどう乗り越えていけるかの「方法」を見せていける作品に惹かれますね。
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「芸能界に向いてないと悩んだこともあった」
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