更新日:2023年02月24日 10:52
お金

ポストコロナの“出遅れ株”。「いま仕込んでおきたい銘柄」を厳選

航空株の今後の見通しは?

 私は、2020年4月に『週刊現代』の取材に、JAL、HISを個別株として書き推奨したが、JALはその当時の株価1800円と比べると2600~2700円前後まで、5割前後上昇した。  いま航空業界に関する環境懸念は、 1、国際線の復活はいつになるのか 2、燃油高騰はいつまで続くのか  ということになる。  1については、海外旅行の需要がまだ回復していないこと。特にコロナ前は便数が非常に多かった中国線の回復が大きく遅れていること。  2については、ウクライナ侵攻もあり燃油費負担が大きい。欧州線はそれまでのロシア上空を飛行するルートが使えないため飛行時間が伸びている問題なども要因になっている。  つまり、JALの経営環境はまだ本格的に戻っていないし、株価にもそれらが織り込まれているとは言えないのではないか。JALの株価は、海外路線の本格的に回復すれば、一段高になる可能性もあり得るはずだ。さらに業績がそれに呼応し復配ともなれば、投資家の視線は大きく変わるだろう。

HIS(9603)にも注目

 実は旅行業界でいえば、おなじみのHIS(9603)も戻しきれていない。  HISは長年の重荷であった長崎のテーマパーク、ハウステンボスの売却が決まったことや旅行支援などで国内旅行が戻ってきたこともあり、2020年に1200円前後まで低迷していたときと比べると2000円前後まで戻している。去年1年間は、それなりの出来高をこなしながら上下していた。
9603 HIS

HIS(9603) 株価2065円(2月7日時点の終値)

 しかし、コロナ前の3000円前後かそれ以上というところまでには戻りきれていない。それはそうだ。HISの強みは海外旅行商品が中心だからだ。  コロナ禍の3年で国内の店舗の多くを閉じ、国内旅行でしのいできたが、2023年に海外旅行の先行きが明るくなれば一段高になる可能性は高いのではないだろうか。  コロナの影響を受け大きく株価を下げた銘柄、それも誰もが知ってる超有名企業の株式でも、出遅れている銘柄は少なくない。そういう個別銘柄を上手に見つけ出すこと、個人投資家にとって『ポストコロナの出遅れ株の発掘』こそが、2023年前半の株式投資のテーマであることは間違いないだろう。  しばらくこのテーマで皆様に情報をお届けしたい。 ※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。 <文/佐藤治彦 チャート/googleファイナンス>
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko
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