更新日:2023年02月24日 10:52
お金

ポストコロナの“出遅れ株”。「いま仕込んでおきたい銘柄」を厳選

世界中で起きているインフレ

JAL この数年、世界はコロナウイルスとロシアのウクライナ侵攻という2つの未曾有の危機に直面し、各国経済は大きく翻弄された。世界中で数十年ぶりのインフレが起こる。  それがどれほどの脅威だったかは、昨年のアメリカが一度に0.75%もの政策金利の利上げを、続けて4回も行ったことからも明らかだろう。  金利が上がれば株価は下がる。  この教科書的な原則があるにも関わらず、アメリカの株価は堅調。日本では10年間もアベノミクスを主導した黒田日銀総裁の任期中は、未曾有の金融緩和を続けることは確実だろう。それでも、年末には事実上の金利の上昇を日銀は容認したと市場は判断した。  2023年1月もこの姿勢は継続されるだろうと市場は見ていたが、あにはからんや、黒田日銀総裁の姿勢は固く、これ以上の金利上昇は容認されない見通しだ。  そのためか、1月4日に2万5716円で始まった日経平均は、2月6日には2万7700円ほどにまで上昇した。

爆上がりした金融、運送、貿易関連株

 このような市況の中で、株式市場はめまぐるしく動いてきた。  金利上昇傾向で爆上げした金融株。ウクライナ侵攻で手腕を発揮して、それまでの数倍の利益を叩き出し、株価も大きく上昇した商社株。コロナ禍での米中対立、ウクライナ侵攻で、世界的なタンカー不足となり業績が大きく伸び、やはり株価も伸びた海運関連などが注目されてきた。  もちろん、コロナやウクライナ問題で大きく値を下げたセクターも多い。  世界中の経済がウィズコロナ体制に移行する中で、今後注目していい投資先はどこにあるのだろうか?  ポストコロナに移りつつある中で株価を戻してきたのがJAL(9201)やANA(9202)に代表される航空関連だろう。  JALは、2018年は4000円、2019年も3500円前後で安定していたものの、コロナの影響で株価は大幅に下がり、2020年4月には1800円程度。経営破綻に伴い上場廃止したあとの再上場時の株価付近まで落ちた。コロナ前の高い株価の時にも3%台だった配当利回りは、今は無配となっている。  しかし、国内便を中心に旅客数は徐々に回復、業績も最悪期を脱した。  JALの株価下落の主たる理由はコロナ禍だから、コロナ禍が終わりノーマルな体制に戻れば株価が戻るのも明白だ。
9201 JAL

JAL(9201) 株価2614円(2月7日時点の終値)

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航空株の今後の見通しは?
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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