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東日本大震災の爪痕が残る気仙沼に“奇跡の女将”。喪失を乗り越えて笑う

「決して何事も無駄ではなかった」

ただいま、つなかん

©2023 bunkakobo ©加藤拓馬

震災から12年、事故から6年を経て映画は完成。悲しみを乗り越えて笑う一代と、年を重ねても彼女の傍にいる元ボランティアたちの交流に、絶望の先の奇跡を見た。風間監督は映画の出来をこう語る。 「テレビは尺が短い分、映像を切らざるを得ない。たとえば映画には、一代さんが民宿再開後、元ボランティアたちを前に泣きながら話すシーンが7~8分ある。それをテレビで使わなかったのは変に切ったり省いたり乱暴に扱いたくなかったから。そういう大事な瞬間を映画に生かせてよかったです」 一代の周りには人が集まる。風間監督も、ナレーションを務めた渡辺謙も、移住者たちも。劇中で一代が発した言葉が印象に残る。 「決して何事も無駄ではなかった。うん。すべてに意味があったんだ」 過去をなかったことにはできない。それでも前を向く一代の力強さは観る者の心をやさしく撫でる。 ただいま、つなかんただいま、つなかん 気仙沼の民宿つなかんを舞台に、名物女将と震災ボランティアたちの交流を追ったドキュメンタリー映画。ポレポレ東中野、フォーラム仙台ほか全国順次公開中。ウッキー・プロダクション配給 【監督・ディレクター 風間研一】 ’77年生まれ。『モーニングバード!』『報道ステーション』などで企画特集を多数制作。ドキュメンタリーを得意とし、本作で映画監督デビュー 取材・文/追っかけ漏れ太郎 撮影/杉原洋平
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