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少年隊・錦織一清57歳がいま振り返る、あのときジャニー喜多川氏が考えていたこと

少年隊のマネージャーはジャニーさん

錦織一清――「仮面舞踏会」の出だしのフレーズ、「Tonight ya ya ya… tear」が錦織さんのアイデアだというのは有名な話ですが、当時二十歳そこそこの錦織さんが、少年隊の楽曲を作り上げる過程で、常に密接にかかわっていたことにも驚きました。ジャニーさんが、錦織さんにはその力があると思って任せていたことも伝わってきます。 錦織:アイドルなんだから、普通はそんなことしないと思うんですけどね。なぜか僕には言いました。「自分のことは自分でやれ」と。厳しかったですけど、本音で付き合ってくれていました。よく覚えていることがあります。当時、たとえばたのきんトリオにはマネージャーがついていましたが、僕らにはついていませんでした。免許も僕しか持ってなかったので、僕が運転して現場に行ってたくらいです。  それで「僕らにはマネージャーがいない」とジャニーさんに不満を言ったことがあったんです。そしたら「youたちのマネージャーって僕じゃない。youたちの言ってるのって、ただ付き人をつけたいだけだよね。テレビ局の人とか雑誌の人とかとのやりとりは、全部僕がやってる。僕が最高のマネージャー。youが欲しいって言ってるのは付き人だよ。つまらないことにこわだってんだね」と。

ケンカをすると口をきかないことも

錦織一清

錦織一清『少年タイムカプセル FC限定版』(新潮社)

――少年隊はジャニーさんと二人三脚だったんですよね。考えるとすごく贅沢です。 錦織:そうですね。それにジャニーさんはなんでも一人でパッパと動く人なんです。今は僕もひとりで動きたいから、ジャニーさんが今の僕を観たら「youもやっと分かってきたね」と言うんじゃないかな。当時はショーのことで揉めたことも多かったですけどね。  二十歳くらいの一番生意気なころでしたし、スペクタクルとしてのショーを求めるジャニーさんに対して、僕は物語の中での「心の動き」みたいなことにこだわったりして。40歳くらいになってから、ジャニーさんの言ってたことが正しかったと分かるようになりましたけど。3カ月くらい口をきかないこともありましたから。僕が生意気なことばっかり言うから、顔を見るたびにため息つくんですよ(笑)。 ――でも互いに本気だったということですね。 錦織:本気、本気。僕が生意気言ったことも、ちゃんと覚えてるんです。それでジャニーさんも熱が冷めると、「youが言ってたやつ、やってみようか」って言ってくれたりするんです。ちゃんとアイデアは頭の中に置いてるんですよ。あるとき、ミーティングで照明技師の人がお弟子さんに「お前ごときが何言ってるんだ」みたいに怒鳴ったことがあったんです。そしたらジャニーさんが「何言ってるの、今、彼いいこと言いかけてたじゃない。なんで聞いてあげないの」と照明さんを怒って。ジャニーさんは、参加してくるやつが大好きなんです。
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少年隊にとって同期という存在は微妙だった
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錦織一清著『少年タイムカプセル』は新潮社より発売
錦織一清 オフィシャルサイト
https://unclecinnamon.com/
少年タイムカプセル

「YOUは、天才だよ!」。その刹那、ひとりの少年の人生が大きく動き始めた――

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