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“評価額1000億円超”SmartHR代表が語る、腹落ちする言葉の選び方「自分の中で踏ん切りがついた」

 コロナ禍でテレワークが普及し、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速するなかで、業務効率化につながるITツールの需要が高まった。  インターネット上で利用できるサービスやソフトウェアをSaaS(Software as a Service)と呼び、サブスクリプション(月額定額制)型ビジネスで提供される場合が多いのが特徴となっている。
株式会社SmartHR

株式会社SmartHR 代表取締役CEOの芹澤 雅人さん

 そんななか、企業における従業員の労働環境や福利厚生などを管理する人事労務系のSaaSサービスが「SmartHR」だ。直近ではARR(年間経常収益)100億円を達成し、SaaSを提供するスタートアップ企業においてもハイペースな成長を続けている。  その代表を務めるのはエンジニア出身の芹澤雅人さん(34歳)。2011年に新卒でIT企業にエンジニアとして入社し、そこから2016年に現在の会社に転職すると、10年で経営者へと上り詰めた。エンジニアから組織のトップに立つまでの軌跡や、社長として意識しているマインドセットについて、芹澤さんに話を聞いた。

幼少期はゲーム開発に独学で取り組んだ

 芹澤さんは子供の頃からパソコンが好きで、ホームページ制作やゲーム開発を行っていたそうだ。 「学生時代のときからものづくりが好きで、いわゆる“ギークボーイ”でした。中学校ではパソコン部に所属し、プログラミングを勉強していましたね。3人兄弟の末っ子として育ったんですが、家でゲームをやりたくても全部持っていってしまって。当時はスーパーファミコンのゲームが全盛だったんですが、なかなかプレイできなかったんですよ。だったら、自分でゲームを作ってみようと思い、独学でプログラミングを学びながらゲーム開発に取り組んでいました」(芹澤さん、以下同)  だが、「ゲームを1つ作ったところで、燃え尽きてしまった」と語る芹澤さんは、高校からは音楽系の部活に入り、バンド活動をするように。そして大学では理系ではなく、文系の早稲田大学社会科学部卒業へ進む。

バイトで学んだ「仕事の優先順位」

株式会社SmartHR 大学時代には飲食店でアルバイトをしていたそうで、そこでの経験が今の仕事にも生かされているという。 「イタリアンレストランでアルバイトをしていたんですが、そこではホール兼キッチンを任されていました。それなりの繁盛店だったこともあり、オーダーの優先順位を決め、的確に動かないとお客様のもとへ料理を運ぶ時間が遅れてしまう。混雑時は次々と飛んでくるオーダーを瞬時に見極め、次のアクションを考える。この一連の流れが少しでも狂うと混乱が生じてしまい、ときには頭が真っ白になることもありました。  飲食店時代の瞬間的な忙しさは、経営者として働く今の忙しさとは比にならないくらいだったと感じていて、とても良い経験をさせていただいたと思っています。一番学んだのは『仕事のタスク決め』でした。今、何をやるべきか。どこから着手すればいいかを見極める力が身につきましたね」
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最後の望みをかけてIT業界に就職
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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