仕事

“評価額1000億円超”SmartHR代表が語る、腹落ちする言葉の選び方「自分の中で踏ん切りがついた」

「会社の期待に応えたい」マネジメントに再挑戦

 スタートアップに飛び込んで、もっと技術力を磨きたい。こうした思いから、芹澤さんは2016年2月にSmartHRへ入社する。そこから1年半ほどエンジニア職を務め、組織の体制変更に伴ってVPoE(Vice President of Engineering、エンジニア部長)に就任。  芹澤さんにとっては、再びマネジメント業務への挑戦だったわけだが、「社長に『VPoEをやってくれ』と言われ、会社のことも好きだったので、期待に応えたいという気持ちが強かった」という。 「初めは前職での失敗経験もあったため、少し抵抗感を抱いていましたが、SmartHRでエンジニアをやってきて、ある程度の成果を出せたのと、なにより会社に貢献したかった。このような背景もあって、自分の中で踏ん切りがついたんです」  VPoEになってからは、マネジメントに関する本を読み、知識をインプットしながら、コーチングや1on1などの実践を繰り返していった。

社長になったことで視座が一変

株式会社SmartHR

SmartHRにおける機能拡充の推移

 その後もCTO(最高技術責任者)や取締役など、着実にキャリアアップを重ね、プロダクト開発や運用に関わるチーム全体の最適化や組織マネジメント、ビジネスサイドとの折衝も行うようになる。そして2022年には創業者(宮田昇始氏)の後を継いで、SmartHRの代表取締役CEOに就任。 「突然言われたわけではなく、数か月前から話が上がっていた」と話す芹澤さんは、CEOに抜擢された経緯について次のように説明する。 「最終的にうちの会社のCEOに相応しい人物像として、事業やファイナンスに強いというよりも、組織のカルチャーづくりに強い人のほうが適任だという意見が社内で一致するようになりました。私の場合、2016年というSmartHRがこれから成長していくという初期の段階を知っていて、一番CEOに向いているということから、最終的に自分を選んでいただいたと考えています」  また、会社のトップに立ったことで、「マインドセットや仕事への取り組み方が全て変わった」と芹澤さんは心境を語った。 「今まではエンジニアの組織中心に向いていたのが、社内では従業員やボードメンバー(経営幹部)、社外では株主や取引先といったステークホルダーと、持つべき視座が一変したと感じています。私は創業者から会社のビジョンと組織を引き継ぎ、中長期の目線から全社的な戦略を描くのを意識しています。一方、事業の執行やファイナンスについてはCOOやCFOに一任していて、その戦略を遂行していく上で求められる組織づくりをCEOである私が担っています」
次のページ
「誰でも伝わるメッセージの出し方」を意識
1
2
3
4
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ